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地方単位会の声

2010.02.14

 

 先に行われた日弁連会長選挙の結果ですが、52弁護士会のうち、実に42単位会で宇都宮候補が勝ち、1単位会で同点、その他9単位会のみで日弁連主流派の山本候補が勝ったと言う事実は歴史的な重みがあります。

 と言うのも、これまでの投票行動と投票結果が今回の選挙では、まさに逆転しているからです。
 さすがに大阪、東京3会の人数は、他の単位会と人数の桁が違うので、投票総数だけは、主流派が1000票多く得票しているのですが、ここまで多くの単位会で反主流派が勝つのは、日弁連の会長選挙始まって以来の出来事です。

 しかも、過去のブログにも書きましたが、弁護士会は、どこの単位会でも政治家と同じく派閥が幅を効かせる保守的な社会ですから、本当に画期的な出来事です。

 政策等を拝見していると、宇都宮候補の司法改革に対する問題意識はまだまだ甘いものがあると思います。例えば、宇都宮候補は年間司法試験合格者数1500人を打ち出していますが、1500人では弁護士激増による社会的弊害を防止することはできないと思います。
 1000人を続けていっても、現在の弁護士数の倍近くの4万6000人近くの弁護士数になると試算されているからです。
 1500人を続けていくと、試算では6万人で自然減と自然増が均衡します。
 今の2万8000人強でも弁護士が社会に溢れすぎています。その証拠に研修所の卒業試験に無事合格しても弁護士登録しない人の数が年々増えているのです。弁護士になりたいからこそ高い授業料と貴重な時間を割いて法科大学院に行き、司法試験合格後も1年間の司法研修を経験するのに近年のように年間の弁護士未登録者数が100人を越えるのは異常な事態です。以前は、学者になるため等で弁護士登録をしないことはありましたが、きわめて稀ななケースで年間数名程度でした。

 また、今後とも、景気低迷で企業の法的需要が減り、少子高齢化社会で個人の法的需要も急激に減ることは明らかです。
 1000人でも弁護士があぶれることは避けられません。

 実際、最高裁判所が公表する新受件数は、この数年間減る一方です。

 「『法の支配』を社会の隅々に」のスローガンの下で弁護士数を激増させて、この10年間程度で弁護士数はほぼ倍増しました。更に、弁護士の広告も電車やテレビで見ない日はないほど氾濫しています。なのに、(過払事件を除く)事件数は減っているのですから、このスローガンがいかに虚構に満ちたものであったかは明白です。

 ところが、主流派は、自らの詐欺的スローガンを反省するどころか、未だに「弁護士に対する需要はある。」「弁護士が広告をすれば何とかなる。」と言っているのですから、話になりません。
 「需要は発掘途上である。」と言うのですから、お笑いぐさです。
 需要があって始めてそれに追いつかせるべく供給を増やすべきなのに、供給を先に増やしておいて、それ(供給)に需要を追いつかせるということが、いかに筋違いであるかが分からないのです。
 
 仮に、候補者一方の主張が満足できるものでなくても、とにかく政権転覆を謀らなければ新たな一歩を弁護士会が踏み出すことはできません。
 
 さぁ、私達と一緒に新たな一歩を刻みましょう!!

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