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給費制は何故廃止されるのか。

2010.08.02

 

 給費制の廃止が決められたのは、平成16年の国会ですが、その時の議論を見ても、当時の法曹養成制度検討会議の議論を見ても司法修習生の給費制が廃止されるに至った理由は至ってンプルです。
 
 要するに、予算の問題です。

 平成13年の閣議決定で、2010年から年間司法試験合格者数を3000人にするということが決められました。すると、以前の年間合格者数500人の時代と比較して、司法修習生に要する予算(税金)は単純計算で約6倍の金額が必要になります。そこで、予算を削減するために給費制を廃止するという議論が出てきました。

 しかし、これには、合理性がありません。
 なぜなら、予算削減の問題なのであれば、司法修習生の給費制を廃止するのではなく、法科大学院をこそ廃止すべきだからです。

 河井克之議員のブログによると、文部科学省からの財政支援だけで法科大学院関連予算として200億円以上が使われているそうです(http://www.election.ne.jp/10868/61155.html)。

 司法改革以前には、法科大学院を卒業する必要がありませんでしたから、この200億円の予算は全く必要ありませんでした。

 法科大学院を設けた後に司法試験合格者の質が高くなっていればそれなりに合理性が見いだせるかもしれません。

 しかし、7月19日の朝日新聞「法曹の卵たち漂流」という記事には、法科大学院の教授が法科大学院生のレベルの低さを盛んに嘆いている事実が掲載されています。その記事の最後では、某法科大学院教員が「草野球の選手をプロ野球の選手にしてくれと言われているようだ。」とさえ言われているのです。
 
 司法修習期間は以前2年でしたが、今は1年に短縮されました。それは、法科大学院を修了している段階で、実務につけるだけの実力を身につけられるというふれこみで法科大学院制度がスタートしたからです。

 ところが、司法修習終了時の卒業試験である二回試験の不合格者数は急増し、最高裁判所が思いあまって修習生のレベルの低さを公表するに至りました。

 皆司法修習生や法科大学院生の質が下がっていると言われているのです。

 実際のところ、法科大学院生の卒業生が全て法曹に携わるわけではありません。
 一般の企業等に勤める卒業生も多く存在します。これに対し、司法修習生はそのほとんどが法曹に携わり、大なり小なり社会的に公的役割を担うことになります。
  なのに、法科大学院にばかりに莫大な公費(予算)が使われ、司法修習生に要する費用が削減されようとしているのが現状です。

 司法改革により、法科大学院に莫大な予算を使い、他方で、予算削減という名目で給費制が廃止されようとしているというのは、どう考えても不合理性なのではないでしょうか。

 8月7日土曜日午後2時から午後4時までの間、給費制廃止を考える市民シンポ「STOP!貸与族」が兵庫県弁護士会本館4階講堂にて開かれます。

 お忙しい中ではありますが、また、猛暑が続きますが、1人でも多くの方々に聞きに来て戴ければ幸いです。
 
 
 
 
 
 

 
 
 

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