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司法修習生の就職難(その2)

2010.08.26

 

 昨日、兵庫県弁護士会の弁護士業務委員会から、「司法修習生向け就職情報提供に関するお願い」と題する書面がファックスで届きました。

 そのファックスには「新63期司法修習生の中でも就職先未定者がおり、非常に厳しい状況」で「司法修習生へ就職情報を提供するため、また司法修習生に向け採用情報説明会を開催する際の参考」のためアンケートを実施するとして、63期、64期の修習生の採用予定の有無についてアンケートが添付されています。

 司法修習生の就職難については昨日のブログでも触れましたが、もともと法曹需要がなく、更に年々事件数が減っているのに、弁護士人口のみを激増させたわけですから、修習生の就職先がないのは当たり前の話しです。

 弁護士に対する需要がないことは、平成12年に実施された司法制度改革審議会の市民統計から明らかでした。そのことについては私が日弁連臨時総会で、或いは、司法改革の会議で弁護士に向かい、何度も申し上げてきました。しかし、その都度私の意見は抹殺されてきました。

 その後、日弁連旧主流派は、3000人路線を打ち出した手前、「法曹需要がある」との統計結果を出さねばならないとの思いから、様々な統計を取りました。しかし、その都度、日弁連旧主流派の思惑とは全く逆の「法曹需要がない」との統計結果がでました。

 それでも、旧主流派は、自分達の過ちを認めるどころか、自分たちの政策は間違っていなかったと言わんばかりです。

 先に行われた日弁連政策会議では、驚いたことに「これまで全く検証が行われてこなかった。検証しなければならない。」と過去の日弁連や司法制度改革審議会や各単位会が行ってきた検証について全くご存じない方が発言されていました。
 この意見に対しては、「検証はされつくした。」「今は検証の段階ではない。」「そんな悠長なことを言っていては間に合わない。」との意見が相次ぎました。

 そして、修習生の就職難について、政策会議の某委員から出た発言に私は心から得心してしまいました。

 その意見は「弁護士増推進派の先生方はそれだけ弁護士の需要があるという前提で言われているのだから、増員派の先生方のリストを作って修習生に『この事務所なら絶対に修習生を採用してくれますよ。』と情報提供すべきです。そのような先生方に限ってまさか需要があるとも思っていないのに増員を主張するような無責任なことをされているはずはないですし、増員を主張しながら、修習生を雇わないなどといった無責任なことをするはずもないですから。」という意見です。
 
 この意見は、何と合理的で、かつ、正しい意見でしょう。
 本当にその通りです。
 この意見に正当に反論できる方はいらっしゃらないと思います。

 そうです。アンケートなどをしている場合ではありません。

 一刻も早く全国の増員派の先生方のリストを作り、修習生に就職先リストとして、そのリストを提供しなければなりません。

 そうでないと、もう数ヶ月後には、500人以上の就職先の見つからない、もしかしたら、1000万円前後といった多額の借金を抱えた弁護士が世の中に放出されるのですから。

 

 
 
 

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