最新情報詳細 一覧へ

< 一覧へ

「若い芽摘まぬ工夫を(?)」毎日新聞の社説

2011.09.22

 

 毎日新聞の9月20日付の社説で、「国民の多様なニーズに応える質量ともに充実した司法の実現は、いまだ途上だろう。」
 「高齢化など時代の変化に対応して職域を拡大する道もあるはずだ。政府のフォーラムも法律家の育成について検討を始めた。縮み志向で小さなパイを前提とするのでなく前向きな議論を期待したい。」と記載されています。
 
 「私ってかっこいいでしょ?」
 筆者のしたり顔が目に浮かぶようです。
 
 若い芽を摘んでいるのは、一体全体どこの誰なのでしょうか。
 
 まず、この社説は、弁護士に対する大きな需要があるのに、それに利己的な弁護士が気がついていない、或いは、気づこうとしないと言うことを前提としています。
 マスコミの書き方が汚いところは、そのような前提をはっきりと書かずに、雰囲気だけで読者をして洗脳しようとしているところです。
 
 しかし、そうではありません。弁護士に対する需要は、どこを探してもなかったのです。日弁連は、或いは、各単位会は、この60年間、涙ぐましい業務拡大の努力をし続けてきました。

 当然です。日弁連旧主流派(我々は、司法改革推進派を称して「旧主流派」と言います。)は、自分たちの失敗を糊塗するために弁護士に対する需要を嘘でも生み出さなければならなかったからです。でなければ、旧主流派の持ち回りで日弁連会長等重要な役職を保持することができなくなるであろうことは目に見えていました。

 しかし、掘っても掘っても宝は現れませんでした。
 偶然、弁護士激増の時期に過払バブルが起きましたが、それでも弁護士激増による社会的弊害の噴出を誤魔化すのがやっとのことでした。過払バブルで別の弊害が起きましたので、大した誤魔化しにもなっていませんが、とりあえず表面上は取り繕うことができました。

 毎日新聞は、大震災や高齢化社会で新たな需要が生ずるかのごとく書かれていますが、大震災や高齢化社会で年間2000人の弁護士増に見合う需要には到底なり得ません。
 大震災については、阪神大震災の時に、事件数が急増すると言う前提で神戸の裁判所と弁護士会とで何度も協議を持つなどしました。しかし、実際には、震災後、事件数は激減しました。

 「衣食足りて礼節を知る」とは言いますが、衣食足りて、かつ、経済活動が活発にならなければ弁護士の扉を叩くにもなれないのは当然の成り行きというものでしょう。
 
 今となっては、弁護士自身、就職先もなく、急激に仕事もなくなっています。
 
 弁護士になりたいと思う若い人が、家族を養える見込みのない弁護士への道をあきらめて別の道へ移行し始めています。
 法科大学院志願者数は、一時の6分の1程度になっているのです。

 若い人の芽を摘んでいるのは、一体誰なのか、何が原因なのか、正当な報道を行って欲しいものです。

  事実認定も判断もまともにできないマスコミに将来はありません。 
 

pagetop