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日弁連会長選と朝日新聞の社説

2012.02.28

 

 朝日新聞の社説に関する内容の酷さは、他のブログでも多々取り上げられているので、ここではマスコミと日弁連会長選挙との不思議な関係を指摘させて戴きたいと思います。
 
 朝日新聞の社説は「残念ながらこの2年間、日弁連のなかでそうした問題意識は十分な深まりを見せず、はた目には既得権益の擁護としか見えぬ主張を繰り返してきた」と締めくくられます。

 現在進行中の日弁連会長選挙には、現職の宇都宮健児氏が立候補されており、宇都宮会長の任期は2年でした。従って、朝日新聞の社説が宇都宮現会長への批判を目的として書かれていることは明らかです。

 要するに、朝日新聞は「宇都宮現会長はこの2年間利益団体としての主張を続けてきた。」→「公益的団体である日弁連が利益団体であるべきではない。」→「だから、宇都宮会長の再選は阻止されるべき。」ということが言いたいのです。

 公的側面を有する団体とは言え、弁護士自治が認められている弁護士会の選挙期間中にマスコミが片方の候補者を弾劾し、他方の候補者に肩入れする等一団体の選挙に容喙してくるのは異常です。

 しかし、マスコミは、以前にも日弁連会長選挙で他方の候補者の政策のみを取り上げて当該候補者の当選を後押ししたことがあります。
 
 4年前に行われた高山俊吉氏と宮崎誠氏の会長選挙の時です。
 
 4年前の記憶なので不正確で恐縮なのですが、その時、マスコミは、宮崎候補の政策が「3000人を維持した上で増員のペースをスローダウンすべき」という内容だったのに、あたかも宮崎氏が「3000人からの減員を主張している」かのごとく誤った報道をしたのです。

 当時は、弁護士の間では弁護士人口激増政策の誤りが既に露呈していた時期でした。
 従って、マスコミが3000人論者であった宮崎候補に関して「合格者数を減らす政策」であるかのごとき報道をすれば、弁護士は、思想的な高山候補を避けて安心して宮崎候補に投票することができます。

 そして、結果は、案の定宮崎候補が勝利しました。

 マスコミは、「二匹目のドジョウ」を狙っているとしか思えません。
 
 恐ろしいのは、マスコミが山岸候補者を推すことでマスコミにどのようなメリットが発生するのかがわからないということです。
 
 他方、明らかなのは、これほどまでに司法改革を礼賛し、弁護士を叩き続け、そして、司法制度崩壊に手を貸してきたマスコミが推す山岸氏が勝てば、弁護士や司法制度、ひいては我が国の社会にとって未来はないということです。

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