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法曹人口と法曹養成制度のアンケート結果

2013.08.16

 

 全国の弁護士有志で結成され、私が事務局長を務める「法曹人口問題全国会議」が全弁護士を対象にして法曹人口と法曹養成制度の日弁連全会員アンケートを実施しました。先日、その結果が出ました。
 全弁護士に対するアンケート結果は大変興味深いものでした。
 
 例えば、「貴方の所属弁護士会の現在の過不足について」「不足」との回答が全体の0.3%しかなく、「少し不足」1%を合わせても1.3%にしか満たないのです。他方で、過剰と答えた弁護士は、「少し過剰」21.6%と「過剰」62.1%を合わせて83.7%にも上ります。
 現時点で既に各地で弁護士の数が飽和状態をはるかに超えているであろうことを推測させます。
 
 また、「司法試験に合格しても法曹にならず、他の分野に就職すればよいから、合格者を多くするとの政策」に対しては90.2%が反対で、賛成する会員はたったの4.1%にしか満たないのです。
 これは、企業や地方自治体等法曹以外の分野に法曹有資格者を配置することが国民や社会のためにならないと多くの会員が考えていることを示しています。
 
 更に、「法曹有資格者の活動領域の今後の拡大を加味したうえで、適正な司法試験の合格者数は、年間何人程度だと思いますか。」との問いかけに対しては、「500人」までが17.8%、「800人」までが26.2%と800人までで44%に上ります。「1000人」との回答が39.3%ですので、1000人までの回答数だけでナント65.5%にも上るのです。
 法曹有資格者の活動領域の拡大を加味したとしても1000人以下で十分だと多くの会員は考えているのです。
 他方、「1500人」との回答は10.0%、「2000人」との回答が2.3%、「わからない」との回答は3.8%しかなく、1500人という数字でさえも、もはや「現実味のない数字」であることが明白となっています。

 また、「弁護士需要を上回って弁護士が供給されることは、国民にとって良いことだと思いますか。」との問いかけに対しては、「良い」と回答した会員はたったの3.5%しかおらず、「悪い」ことだと回答した会員が79.3%に上ります。

 法科大学院については、法科大学院制度の廃止について「賛成」と回答した会員が57.1%に上ったのに対し、「反対」=「法科大学院制度存続に賛成」と回答した会員が21%にすぎなかったのも意外でした。
 なぜなら、法科大学院制度出身の弁護士数の占める割合からして、明らかに法科大学院出身の弁護士でさえ、その多くが法科大学院制度を廃止すべきと考えていることが容易に推測され得るからです。
 法科大学院修了を司法試験の受験要件から外すことについては「賛成」と回答した会員は70.0%に上り、「反対」と回答した会員は15.7%に過ぎず、更にその差が開きます。

 司法修習を2年間にすべきと回答した会員も76.7%に上り、法曹の質の確保の観点からして現在の司法試験の合格率が高すぎると回答した会員が54.8%に上りました。法曹としての質の確保からして現在の司法試験のレベルに問題があるとの認識を半分以上の人が抱いていたのです。

 法曹の専門家のアンケート結果は、重く受け止められるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 とりあえず、添付資料にアンケート結果を貼り付けておきますので、皆様の方で統計結果を評価して戴きたいと思います。

添付資料添付資料を見る(PDF: 92 Kbyte)

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