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若手弁護士残酷物語

2015.12.25

 

 今年10月10日に愛知県弁護士会で行われた司法改革のシンポに参加してきました。

 そこで、「司法修習生と若手弁護士の状況」報告が行われました。
 報告した弁護士は、受験指導に携わり、ロースクール生や司法試験受験生、或いは、若手弁護士との接点があり、若手法曹志願者や若手法曹の方々の実態をよくご存じとのことでした。

 その弁護士の報告によると、とにかくロースクール生や司法試験受験生は、お金がなく、カップラーメンを常用しておられるそうで、弁当持参が原則なのだそうです。女性のロースクール生はキャンペーンガールのアルバイトを行ったり、男女問わず、半年間アルバイトに専念したり、勉強会にはアルバイトをする時間を惜しんで来ないのだそうです。
 特にお金にならない人権派弁護士の勉強会には行かないそうで、エクスターン、インターンをしても、結局、市役所や裁判所職員に志望変更する人が後を絶たないのだそうです。

 ロースクール生は、精神的にも非常に不安定で、物音やクーラーの温度調節など些細なことでロースクール生同士の深刻な対立を生んでいるのだそうです。

 また、食事を奢っても全く喜ばれないのだそうです。なぜなら、カップラーメンやホカ弁の方が往復の交通費よりも安いからだそうです。「呼び出されて交通費がかかるくらいなら、家で安く済ませたい。」、「ご馳走を食べることのメリットが感じられない。」とのことでした。
 
 司法修習生も同様で、修習前に1000万円以上の「奨学金」という名の借金を抱えている人がざらに存在し、本や筆記用具が買えず、パンのお裾分けに大喜びするのだそうです。
 交通費ももったいないらしく、どこまででも歩いて行き、40分以上自転車をこいで目的地に行くことも珍しくないそうです。
 さらには、医療費ももったいないので、身体の具合が悪くても医者にかからない人もいるそうです。
 そのため、焦って就職先を決めてしまい、ブラックな法律事務所に就職して1年以内数ヶ月間で辞めてしまう人も多いのだそうです。

 報告者が驚いたのは、最年少合格者男性修習生等以前なら就職先を見つけるのも全く苦労しなかったであろう人が2回試験後(法曹資格を得るための試験後)も就職先が決まらない等以前には考えられないような就職難となっているようです。
 そのため、当初は法曹を目指しても最終的には企業や公務員等に普通に就職する人も多いのだそうです。

 若手弁護士も同様で、少ない給与で休みもなく午後11時頃まで働き、身体を壊す人も多く、入所する前の提示条件と入った後では提示条件が違う、或いは、辞める際にトラブルになるケースも多いそうです。

 また、人権活動がしたくて弁護士になったのに、お金がないがために、ボランティア的訴訟や運動にも参加できず、団体会費が払えないので、興味のある人権活動団体等にも入れない、プライベートでも子供が作れない、結婚もできないといったケースも多々存在するそうです。

 司法試験受験回数制限があるがために、社会人入学でロースクールに入った人の惨めさは深刻で、家庭不和も発生しており、ノイローゼや鬱病に罹患する人も増えているようです。

 司法改革を進めている人には、このような現実にちゃんと目を向けていただきたいと思います。
 
 

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