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2016.08.25
平成28年8月23日に朝日新聞が日弁連の「依頼者保護給付金制度」について下記のような報道をしています。
http://www.asahi.com/articles/ASJ856QV7J85UTIL04Y.html
記
(抜粋はじめ)
「成年後見人として預かった高齢者の財産を着服するなど、弁護士の不正が相次いでいることを受けて、日本弁護士連合会が被害者に見舞金を支払う制度を創設する。経営に苦しむ弁護士の増加が背景にあるとみており、「市民の信頼低下を防ぐことが急務」との考えだ。早ければ来年4月にも導入する。」(中略)
「「依頼者保護給付金制度」は、弁護士の着服について刑事裁判の有罪判決や弁護士会による懲戒処分が出た場合、被害者に見舞金を支払う仕組み。」で
「上限は被害者1人当たり500万円で、複数の被害者がいる場合は弁護士1人当たり2千万円を上限とする。日弁連に新設する審査会で被害者らに事情を聴いた上で支払い額を決める。」(以下、省略)
これについては、福岡の家電弁護士ブログや弁護士のため息ブログで反対意見が要領よく述べられています。
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-5d99.html
http://ameblo.jp/mukoyan-harrier-law/entry-12186474883.html
弁護士のメーリングリストでは、「こんな制度が導入されるなら、弁護士会の強制加入団体をやめてほしい。」といった意見まで飛び出しています。
私もこの依頼者保護給付金制度については反対しており、昨年の日弁連理事会でも反対意見を何度か述べました。
内容の是非については、後日、書きたいと思っていますが、今回、注目したいのは、このような未確定の情報が誰によって何故マスコミにリークされたのかということです。
朝日新聞の記事には、「日弁連は7月から全国の弁護士会の意見を募集しており、その結果を踏まえて正式に決める。」と記載されている通り、7月に日弁連が単位会に意見照会をかけたばかりの情報なのです。
このような段階でマスコミが報道するなどというのは、異例なことだと思います。
私も兵庫県弁護士会の会長と副会長を経験させて戴いたので、マスコミに記事を書いてもらうために様々な努力をしてきました。
しかしながら、マスコミは、確定的な情報でなければ報道してくれません。
なぜなら、未確定的な報道をした後になって、実際に確定した内容が報道内容と異なっていた場合に市民に与える影響が大きいことと、一旦報道してしまうと、その報道内容にマスコミ自身も責任を負わなければならなくなるからです。
後日、市民から「内容が違うじゃないか。」といったクレームも受けるでしょうし、何より誤解と混乱を生じさせかねません。マスコミの与える影響は甚大なのですから。
また、マスコミの紙面は限られています。我々がいくら「この問題は大変重要なので、報道して欲しい。」とお願いしたところで、マスコミも他にも重要な問題を多く抱えていて、そんなに簡単に報道などしてもらえるわけではないのです。
すなわち、今回のように未確定の情報を大々的に報道するなど到底考えられないのです。
ただ、実は、他にも似たことがありました。
宇都宮健児会長時代に日弁連の意見書の結論部分を「年間司法試験合格者を1000人」で意見照会するか、「1500人」で意見照会するかについて、各単位会に意見照会をした時のことです。
その際、日弁連法曹人口問題政策会議において「単位会に1500人で意見照会をする」と決める前に新聞社に「日弁連は各単位会に対し、1500人で意見照会する。」という報道がマスコミによって大々的に報道されました。
その後、開催された法曹人口問題政策会議でも我々はこぞって「1000人」という形での意見照会も付け加えるべきと頑張りましたが、「1500人でしか意見照会しない。」といった雰囲気が支配的になってしまいました。
弁護士の中に司法改革推進派の中にマスコミとの強いパイプを持った人がおり、その人の恣意に従った報道が行われ、既成事実化されることで世論操作が行われているように見えるのは私だけなのでしょうか。