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法曹の魅力を打ち出す?!

2017.08.18

 

 「『弁護士になっても食えない』という『デマ』が強調されているだけで弁護士は実際には儲かっている。」と言いたい一部の人がいるようですが、実際、60期から65期までの弁護士がかなり弁護士業務を廃業していることが統計上明らかとなっています。
 
 弁護士に関する統計が掲載されている日弁連発行の「弁護士白書」という雑誌があり、その数字を京都の白浜先生がまとめていただいているのでその書面を添付ファイルにつけておきます。

 60期から65期の弁護士と言えば、弁護士10年未満の方々です。

 その統計の9年未満の登録抹消数を見ると、60期の弁護士が既に65名、61期の弁護士が56名、63期の弁護士が40名が弁護士登録を抹消しているようです。
 
 41期の9年未満での抹消数が1名、42期が14名、43期が7名であるのと比較するといかに多い人数が弁護士登録抹消をしているかがわかります。
 41期から43期の方のうち亡くなったことによる登録抹消も含まれると考えられるからです。
 
 もちろん登録抹消をした方が全て経営できなかったからなどと言ったことを申し上げるつもりはありません。
 しかし、60期以降の弁護士は、その大半が4年大学を出た後に法科大学院を出て多額の学費・生活費等や時間や労力等々の資本を投下してやっと弁護士資格を得られた方です。
 
 そして、希望と理想に燃えて弁護士になってから10年と経たないうちに弁護士を廃業するというのですから、よほどの事情があったことはほぼ間違いないと言えるでしょう。
 
 弁護士の仕事というのは、専門的な知識と理論をもって、他者の人権を救い、社会正義を全うすることのできる素晴らしい職業です。
 そう簡単にやめるような仕事ではありません。
  
 法曹の魅力を打ち出し、法曹志願者を増やすために、「弁護士になっても食えない」論をデマ扱いしたい気持ちはわからないではないですが、弁護士になっても十分やっていけるのであれば、これほど短期間に登録抹消はしないと思います。
弁護士になってからの後のことについて実情を伝えるべきだと思います。
 
 それぞれの人生がかかっているのです。
 
 安易に「弁護士になりさえすれば、バラ色の人生が待っている」などといった誤った喧伝をすべきではありません。
 
 いくら「弁護士には職業的魅力がある。」と宣伝しても学生の方も情報収集にたけており、最近は、高校生の方から「弁護士になっても未来がないから、法曹にはなりません。」「法曹になるかどうか迷っていたのですが、法曹の現状を聞くにつれ、法曹になることはやめることにしました。」等との意見を高校等学生の口から発せられる機会が増えました。

 弁護士という職業は、専門的知識で困った人を救い、社会の構造から零れ落ちた依頼者の人権を助けることができ、依頼者から感謝されることで、あたかも自分が社会に役立っているかのごとき錯覚を実感できる素晴らしい職業です。

 ただ、いくら素晴らしい職業であっても、家族の人権さえ守れないような可能性のある職業では、法曹になれる人は極めて限られてくると思います。 
 法曹が素晴らしい職業であることは、旧司法試験では、受験者数が右肩上がりで上がっていたことからも、皆わかっていることだと思います。


 法曹の魅力を打ち出す前にせめて弁護士が職業として成り立つ職業にするのが先決だと思います。
 

添付資料添付資料を見る(PDF: 107 Kbyte)

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