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札幌公聴会の応援演説(岩田圭只弁護士)(4)

2024.01.20

 

岩田圭只弁護士による応援演説(4)

以下、引用

「及川さんを会長候補として推薦するにあたって、ご本人の人となりについてのポイントを3つ述べたいと思います。
1つ目としては、実は一般企業で務めていた経験があるということがあります。
 法科大学院が目指した目標の一つには、社会人経験者の合格者増ということがありました。しかし、この目標は十分に達成できていないどころか、法科大学院自体が参入障壁化していることで、社会人経験者からむしろ敬遠されているという現象が生じております。及川さんは社会人経験もあったからこそ、なぜそのような事態となってしまうのか、潜在的な法曹志願者の思いも身をもって分かっているのではないかと期待しています。
よりシンプルな選抜を実施し、そしてより効果的に育成する、この二点をわかりやすく充足しなければ志願者は将来のキャリアを明確に描くことができず、志願者の減少に歯止めをかけることは困難です。法曹養成制度の理想と乖離した現状のほころびに対しても適切な処方箋を出してくれるものと期待しています。

2つ目は、今でも自分で法テラスの仕事をやっているということがあります。
 法律扶助の制度設計については幾度となく改善への議論が続いてきた問題なのですが、日弁連での議論状況を見ていると何が問題かということを分かっていない人が多すぎるようにも感じます。あるいは、問題があることはわかっていながら知らないふりをしている人もいるのかもしれません。法律扶助事件の扱いは、実際に手掛けていないとその問題点について実感できないことがあります。例えば、費用が低いというだけでなくて、入金も遅いといった不利な取引条件を強いられていたりもするわけです。この点、実体験をもとに制度を良い方向へ変えていけるのは自分でもちゃんとやっている及川さんだからできることだと考えます。

3つ目は千葉の人だということがあります。
及川さんは今も松戸で事務所を構えて仕事をしています。
 日比谷の界隈から見下ろす日本の姿と、松戸から江戸川の向こうに眺める大東京の姿は大いに異なるでしょう。我々にとっていずれの視点が親和的かということを考えてみる必要があります。及川さんは千葉県弁護士会の会長を務めたこともありました。東京三会と大阪の会員以外から日弁連の会長が選ばれたことは過去にあったかもしれませんが、地方会の声が反映されたのかどうか果たしてよくわからないままでした。あるいは北海道のご出身ながら東京で活躍されて会長になった方もいたかもしれませんが、北海道新聞からインタビューを受けて、「人口が減っても法的需要が減るわけではない」などと平然と応じているのを見て、実感の違いに余りに驚いたこともありました。
法曹人口は増えているのに人が来ないというのは各地の地方会の直面している重要な問題かと思いますが、それだけではなく、都市部の事務所の広告による消費者被害の問題といったことも少なからず目にします。投げ出された依頼者をどうにかしなければいけなくなるのは地元の弁護士です。このような地方会特有の課題にも目配せができるのは、地方会の会長もやり、今も自ら市民のための業務に勤しんでいる及川さんならではと思います。

 会長選挙の前になると様々なグループができ、様々な政策が披露されますが、喉元をすぎるとそこで掲げられた政策はどこへ行ってしまったのだろうか、ということが何度も繰り返されてきました。
しかし、及川さんはこれまでも2回日弁連会長選に挑んで、選挙で負けてもなお信念を曲げずに継続的に日弁連を変えようという提言をし続けておりました。具体的な事件を通じても、及川さんは、かつて貸金業者と利息制限法の論点について負けそうになっても徹底的に争い、過払金返還の実務の礎を作ったということもありました。その社会的な影響がどれほどのことだったかは、多くの弁護士が承知のことかと思います。
そのような粘り強さこそが、今後の日弁連を立て直すためにその代表者たるべき人に要求されるべきパーソナリティではないかということを思います。
どうぞ及川さんへの皆様のご支援をお願いしたいと存じます。
ご清聴誠にありがとうございました。」(引用終わり)

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