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福岡公聴会での応援演説(2)

2024.01.25

 

纐纈和義さんによる応援演説の引用その2です


「司法の現状と法曹人口
今司法の現状はどうでしょうか。司法改革を断行して,市民にとってよりよい満足いく状況となったでしょうか。法曹を目指す人は激減してきております。大学の法学部の人気も落ち,文科系の学部の中でも偏差値も随分下がってきております。
一方司法試験合格者は昨年1781人と一昨年1403人と比べましても大きく上回り,合格率も約45%となっています。2人に1人が合格する状況です。相も変わらず大巾人口増が継続されています。本年1月1日現在の弁護士人口は4万5868人ですが,司法改革が始まった頃より2.5倍近く増えました。毎年1500人合格だとしても,毎年1000人以上増えます。5年後には5万人,15年後には6万人を超えることになるでしょう。毎年1700人~1800人程度合格するとすれば,毎年1200人~1300人増えますので,それ以上になるのは明らかです。
かつて,医者と弁護士が並び称されていましたが,最近では,このようなことばも聞かれなくなりました。
日本の人口は減り続け,2040年には我が国の労働人口が現在の8割になるとも言われております。我々の業務量も減り続け,弁護士の所得は減少の一途です。それがどうしたという意見や,世の中には食えない人がいっぱいいる,弁護士だけ当たり前のように食えていいと考える方が,よほど甘いわと言う意見などありましょう。
しかし,需給のバランスを考えず弁護士が増え過ぎたとしても,「いいものは生き残る」と平然とかまえていて本当にいいのでしょうか。弁護士の経済的基盤が揺らいでいます。弁護士の魅力も大幅減と言わざるを得ません。「武士は食わねど高楊枝」などと言ってられません。日弁連としては会員全体のことを考えなければなりません。「衣食足りて礼節を知る」と考えなければなりません。挙句,弁護士内の格差が拡大し,不祥事が激発し,弁護士自治も危うくなるでしょう。基本的人権の擁護と社会正義の実現という弁護士本来の崇高な使命は本当に果たされるのか。私は極めて疑問だと思います。司法試験合格者数については少なくとも1000人以下に大きく転換しなければいけないでしょう。

給費制と谷間世代
私は市丸先生と共に日弁連の給費制本部の副本部長をやっております。市丸先生はじめ福岡九州の先生方も谷間世代解消に向け大変頑張っていらっしゃいます。心から敬意を表します。しかし,この問題も「骨太の方針」に記載されたかのように言われておりますが,谷間世代解消とは一言も書かれておりません。現実には法務省などの分厚い壁に阻まれて困難を来しております。そもそも給費制が廃止され貸与制になったのは,司法改革の当然の結果なのです。私は昭和23年生まれですが,昭和22年から始まり60年以上続いた給費制が廃止になりました。昭和22年は終戦後間もない時,食べる物もないような時代でした。いくら金があっても足りないような時代でした。そんな時から給費制が始まったのです。人材を育てるんだという理念がありました。先程も申しましたとおり司法改革は自己責任の考え方に基づいております。自分の面倒は自分で見るのが当然,法曹になりたい人は自分でその費用を持つのが当然という考え方なのです。法曹を養成するのは国の責務だという考え方を持っておりません。小林会長より前の歴代の日弁連執行部が谷間世代解消に後向きなのは,司法改革を推進してきたものとしては谷間世代解消を叫ぶことは司法改革を推進したことと相矛盾する動きとなるからです。今こそはっきり谷間世代の不公平是正を求めなければなりません。」
(引用終わり)続く

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