実は、これまでにも何度か、辻泰弘議員とお目にかかり、司法制度の改革について意見交換をさせて戴きました。
　
　その中で、辻議員から言われた言葉があります。「（司法制度を悪くするような）『司法改革』に、何故日弁連が賛成したのですか。」と言う言葉と「社会的弊害が既に発生してきているのに、何故弁護士さんは一丸となって『司法改革』に反対しないのですか。」ということです。

　この二つのお言葉は、どちらも、私達弁護士にとって重くて痛い言葉です。
　司法制度の改革について、弁護士しか声を上げる人や組織はいません。
　裁判所や検察庁は、あくまでも国の組織なので、国に逆らうような活動はできません。

　司法制度の一端を担い、国に対しても意見できる弁護士が、司法制度が悪くされようとしているのに、何故それに賛成したのか、或いは、未だに何故反対しないのか、との辻議員の疑問は、きわめて正当なものです。
　
　勿論、弁護士の中には、司法改悪に反対してきた人達もいました。
　しかし、残念ながら、その多くが賛成してきました。未だに、賛成する弁護士が少なからず存在しています。
　これら弁護士が賛成してきた理由、未だに反対できない理由は、一体何なのでしょうか。

　弁護士が司法改革に反対すると、必ずと言って良いほど「悪徳弁護士」「既得権益の擁護しか考えていない。」といった不当な批判、言論封殺がされます。
　そのような批判をかわすために、弁護士が司法改悪に賛成してきたと考えるのは、あまりにも短絡的な見方でしょう。

　しかし、それならば、社会的弊害が目に見えてきているのに、何故弁護士がそれに一丸となって反対できないのでしょうか。

　私には、分からないことだらけで、辻議員からの疑問に対しては、その都度、答えに困ってしまいます。