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日本航空の二の舞?

2009.10.26

 

 民主党が郵政民営化の閣議決定を見直すとの談話を発表した時、竹中平蔵氏は、「それでは、日本航空の二の舞になる。」といかにも民主党の政策には問題があるかのような雰囲気を醸し出して発言されました。例によって、その理由や趣旨についての説明は一切ありませんでした。彼の発言は、本当にいつも雰囲気だけです。
 
 「日本航空の二の舞」になるというのであれば、郵政民営化を阻止すべきということになるはずだと思うのですが、それが何故問題なのか、竹中氏の発言からは、その趣旨は全く伝わってきません。
 
 そもそも日本航空の失敗は、何故起きたのでしょうか。
 
 部外者である私に正確なところは分かりません。
 また、当然のことながら、様々な問題が重なりあっているのでしょう。

 しかし、国の都合で到底採算の取れない空港をあちこちに作り、そのツケが日本航空に押しつけられたことが原因の一つになっていることは容易に想像できます。
 あちこちに空港を作れば、国民にとって便利であることは確かでしょう。
 しかし、利用者数の少ない線を作ることは社会全体の効率を考えると無駄なことです。結局は、赤字経営から撤退を余儀なくされ、空港を作りその事業継続のために費やした経費が宙に浮くだけだからです。飛行機を飛ばすのにどれだけの経費がかかるかを少しでも想像したらすぐに分かることです。
 このような赤字垂れ流し事業を民間に押しつけるのは、無理があります。

 郵便事業といった公益事業は、そもそも採算が取れるものではありません。
 過疎地では、赤字をかぶり自らの熱意だけで郵便事業を継続しているところがあります。

 民営化すれば、採算を度外視して事業を営んでも、いずれ限界が来ます。

 日本航空が経営努力を積み重ねても、いずれ限界が来ることは当然予測できたことです。
 この「日本航空の二の舞」を避けると言うのであれば、郵政民営化を阻止すると言うのが理論的筋だと思います。
 是非竹中氏にはそこのところをご説明戴きたいと思っております。

 実は、これと似たようなことが、医療や司法といった公益的側面を持つ職業についても言えます。
 誰でも弁護士や医師になることができ、その後、自由競争をさせれば、結局は、採算を考えて不採算部門の切り捨てを余儀なくされます。

 このような職業にとってはボランティア的な公益的な側面こそが大切なのに、それが失われるのですから、医師や弁護士の存在意義自体が失われると言っても過言ではないでしょう。
 
 「改革」という名の「改悪」が着実に社会全体を蝕もうとしています。

 
 
  

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