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尊厳死

2009.12.09

 

 今日、川崎協同病院で意識不明の男性から気道を確保するためのチューブを抜き、筋弛緩(しかん)剤を投与して死なせたとして、殺人罪に問われた医師の有罪判決についての上告を最高裁が棄却したとの報道がありました。

 この結論自体が正しいかどうかは、記録を精査していないので、何とも言えません。
 ただ、最高裁には、尊厳死の要件を示して欲しかったと思います。
 
 尊厳死の要件が明確でなければ、自分が死に直目し「もうこれ以上治療を受けずに臨終を迎えたい」と思っても、それは許されなくなるでしょう。医師に殺人罪という罪名を負わせてまで、尊厳死をお願いするのは身勝手と言われても仕方ないからです。
 最高裁が尊厳死の要件を示してくれていれば、今後、医師も患者も安心して尊厳死を検討することができます。
 
 尊厳死は、尊厳をもって生きる権利と表裏一体の関係にあるはずです。

 この医師には、執行猶予がついていますので、刑務所に行きたくないという理由で上告をしたのではないと思います。
 この医師は、尊厳死の要件を最高裁に示してもらいたい一心で、他の医師や全国の患者のために上告したのだと思います。

 今回の最高裁の判断が事件の問題の核心に触れられなかったのは非常に残念な気がします。
 
 

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