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2009.12.10
私の場合、2ヶ月に1度くらいの割合で東京と兵庫県を往復します。
いつも新幹線「のぞみ」で移動するのですが、今日は、静岡に行くために「ひかり」の方に乗りました。
そこで初めて気づいたのですが、「ひかり」から見る景色と「のぞみ」から見る景色は全く違って見えるのですね。
同じ線路を走っているのに、景色が違って見えるとは意外でした。
反対方向の新幹線に乗り間違えたのでは?と焦ったほどです。
人間の知覚と記憶とは、かくもいい加減なものです。
弁護士になる前、研修所の刑事弁護の授業の時に、事務の人がプリントを持って教室に入ってきました。
授業がだいぶ進んだ時、刑事弁護の教官が「さっきプリントを持ってきた人の服装や身体的特徴を述べなさい。」と次々に修習生(弁護士や裁判官になる前の研修生)を当てていったところ、当てられた人当てられた人皆言うことが違いました。
刑事弁護教官は、「ほら。皆さん。目撃証人の記憶というのは、このようにあてにならないものです。目撃証人の証言だけで犯人であるとの偏見を持つことは絶対にしてはいけません。」と体験を基に教示してもらいました。
プリントを持ってきた事務員は仕組まれた授業の一環だったわけです。
このようにして、私達弁護士や裁判官は、人の記憶や知覚がいかにいい加減なものであるかを徹底的に身をもって浸み込まされます。
速度が違えば見える景色も違うであろうことは、人間の知覚と記憶のいい加減さからすれば当たり前なのですが、今さらながらに気づくとは、人間の学習能力もかなりいい加減なもののようです。