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2009.12.15
私が法曹人口の問題の話をしたところ、某弁護士会の会長から「でも弁護士の数を増やして弁護士全体の競争力を高めなければ、外国の弁護士や隣接士業との競争に打ち勝てないのではないですか。」と聞かれました。
10年近く法曹人口問題について発言してきた私ですが、この議論を拝聴したのは初めてでしたので、少し意外な気がしました。
おそらく弁護士人口をこれ以上激増させるための根拠もそろそろ尽き果ててきたのでしょう。
これまで弁護士激増の理由とされた議論がことごとく反論され、しかも統計によっても次々と詭弁に過ぎないことが証明されてきました。
しかしながら、「敵もさるもの」です。
潰されても潰されても、次々と新しい議論を持ち出してきます。
10年近く経ち、今度は「競争力強化のための弁護士激増」というキャッチフレーズで弁護士を騙せると思ったのでしょうか。
しかし、この議論は、すでに実証的に破綻していると言えます。
大阪の坂野真一弁護士の12月10日付けブログ(http://www.idea-law.jp/sakano/blog/archives/2009/12/10.html)にもあるように、ドイツなどは弁護士を増やして外国弁護士の活動を自由化した結果「大事務所の殆どが英米大法律事務所の傘下に入ること」になりました。
弁護士激増政策は弁護士の競争力を低下させます。
弁護士を激増させ、弁護士間の格差が広がれば弁護士間の同質性は失われます。また、赤字経営に苦しむ弁護士が増え、弁護士の不祥事も急増していますが、このままでは弁護士の社会的信頼は地に落ち、弁護士に自治を認めていること自体がいけないのだと「弁護士自治」に対する攻撃が始まることは目に見えています。
そうなれば、弁護士が一丸となって闘うことは益々困難となり、弁護士に認められてきた権限は縮小の一途をたどるでしょう。弁護士が意見を言い、活動する精神的・経済的余裕もなくなります。
その結果、弁護士の競争力が低下することは理論的に言っても必然的結果なのです。
実際、弁護士激増政策は、弁護士の競争力を低下させ我が国の司法「市場」参入を狙うアメリカが再三長年にわたり執拗に求めてきた政策です。よって、数を激増させれば、弁護士の競争力が低下するであろうことは論証するまでもないことなのです。
外部の人間が言うのならまだしも、弁護士自身が何故このように次々と詭弁を弄してまで弁護士激増政策という愚作に固執し続けるのか、理解に苦しみます。