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2010.01.10
昨日、添付ファイルでも引用した新時代を担う若手の会ニュースを拝見すると、山本氏は、「年間3000人という目標は見直す必要があると思っています。今の合格者(年間2000人程度)より少なくする方向を検討する必要もあると考えています。」と言われています。
巷には『山本氏がはっきりと合格者減を打ち出した』とか『否、山本氏は、もともと合格者数減論者だった』とのうわささえ出ているようです。
しかし、山本氏は同じファックスで「(従前の)司法改革路線自体は間違っていない」と言われているのですから、『合格者数削減論者』のはずがありません。はっきりと合格者減を打ち出したわけでもありません。
山本氏は、東京弁護士会の会長だった2009年1月13日に、日弁連の3000人決議を礼賛しつつ「新司法試験の年間合格者数を2100人~2500人の範囲内」とする意見書を出しました。ほんの1年足らず前のことです。しかも、この意見書は旧司法試験合格者を含めると2200人~2600人とすべきことを意味する内容なのです。
そればかりでなく、山本氏は、同じ年の新春の挨拶で「世界的に経済が混乱するなかで,弁護士への経済面の影響もあり、法曹人口に関しては増員に消極的な意見も少なくありません。しかし,増員に反対するだけでは日弁連に対する社会の信頼を失うことになりかねず」従って、「新たな活動範囲の開拓を促進し,弁護士が高い評価を受けながら市民の社会生活上の医師のような存在となるよう,尽力すべきときです。」と答えられています(新春の挨拶は下の添付資料に貼り付けておきます。)。
前半の「経済面の影響もあり、消極的な意見は少なくない」との部分は、司法改悪に反対する弁護士をしてあたかも自分の経済的な問題だけから反対しているかのごとき悪意あるレッテル張りにすぎません。
「反対するだけでは」「社会の信頼を失う」との部分ですが、司法改悪に反対しなければ社会が悪い方向に向かうのであれば、賛成する方が「社会の信頼を失う」ことになります。
それなのに、何故「反対するだけでは」「社会の信頼を失う」と何の理由もなしに断言できるのでしょうか。
氏の結論には理由がありません。論がなく、全くの雰囲気だけです。
新時代を担う若手の会ニュースで、山本氏は「この(法曹人口)問題は早々に解決できる問題ですし、解決しなければならない問題です。」と言われています。
しかし、法曹人口問題は、その政策を間違えれば司法全体、社会全体に影響する重要な問題です。司法改革が始まってから約10年が経とうとしているのに、解決の糸口が見つかるかどうかと言うくらい、その政策転換は大変なことです。できてしまった法科大学院や法科大学院生の問題もあります。
それなのに、「早々に解決できる問題」というのは、一体全体どういうことなのでしょうか。
「これまでの司法改革では人口増を支える基盤作りが不十分でした。」という部分も、これまで約10年間、日弁連は人口増を支える基盤作りに腐心してきたのに(過払金返還事件を除く)事件数は減る一方です。
「弁護士人口増を支える基盤作り」という掛け声がいかに非現実的な虚しい答えであるかは歴史が証明しています。
日弁連会長選挙に出ようというのですから、もう少し誠実な議論をして戴きたいと思います。
添付資料を見る(PDF: 860 Kbyte)