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2010.05.07
4月は、あまりの忙しさにブログをかなり休んでしまったことに反省しきりです。
未だに兵庫県弁護士会の1000人決議の喧伝・実現に向けた活動に奔走しています。
例えば、法律新聞5月14日発行分の総会決議についての原稿は、今日が締切でしたので、先ほど原稿を編集部にメールで送りました。法律新聞は、いわゆる業界紙で、読者はおおむね弁護士や法学者などですが、司法改革については他のいわゆる一般紙のマスコミとは論調が異なり、中立・公正な報道に努めておられるように見えます。
このような新聞は、非常に貴重な存在だと思います。
ですから、法律新聞編集部の担当者から「兵庫県弁護士会の1000人決議について論壇の原稿を書いて欲しい。」と原稿依頼があった時、二つ返事で応じました。
明日は、担当副会長らと共に民主党の懇談会に出て議員に対し兵庫県弁護士会の総会決議についての理解を求める予定です。
法曹人口問題は、私達弁護士等の狭い業界の問題ではなく、わが国の司法制度のあり方を問う社会全体の問題です。と言うのも、司法制度は、行政や立法といった多数決支配による政策によっては保護されない、あるいは、こぼれ落ちた人権を保護するための社会の公的なシステムのひとつだからです。
だからこそ、これまでは、弁護士になるための司法試験合格後の研修期間についても準公務員として国から給与が支払われていました。それは、弁護士が一定の社会的・公的役割を期待されていたからです。実際、私達弁護士は、意識的に、自分達の利益のためでなく社会正義を実現するために手弁当でボランティア的仕事も厭わずに行ってきました。
しかし、今年の11月からは、修習生(司法試験合格後の研修生)の給与制は廃止されます。修習生の給与制廃止の問題も司法試験合格者数と密接な関係があります。
司法制度のあり方を決めるにあたっては、法曹人口についてどのようなビジョンを描くかが、きわめて重要な根幹を成します。
弁護士の数を激増させ、誰でも弁護士になれるようにして、弁護士の淘汰を市場原理に委ねれば、自ずと弁護士のアメリカ型ビジネス化は進まざるを得ません。結局は、弁護士の品質保証は近いうちに失われ、悪い弁護士により被害を受けてもそれは市民の自己責任と言うことになるでしょう。
果たしてそのような社会でよいのでしょうか。
市民がそのような社会が目指されていることを知った上で選択しているのであればやむをえないとも言えるでしょうが、市民が知らない間に、司法制度の改変は急速に進められています。
今行動を起こさなければ、後から「あの時弁護士や弁護士会は一体何をしていたのだ。」と言われるであろうことは容易に予想されます。
そうなってから行動しても遅いのです。