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2010.06.03
竹中平蔵氏や小泉純一郎氏の活躍していた構造改革当時、マスコミでは盛んに「官から民へ」とのスローガンが掲げられました。
でも、「官から民」の方が必ず良いとは限りません。
例えば、医療や福祉といった分野は、真面目にやればやるほど赤字になってしまいます。こういった採算の合わない分野は民よりも官の方がふさわしい分野だと言えます。
また、「官」は確かにセンスに欠けるような部分もありますが、民間とは異なり、採算を度外視して、真面目に、かつ、誠実に対応してもらえるという民には代え難いメリットもあります。
その意味では、「官より民」の方が良いこともあれば、悪いこともあり、一概に民が官よりも勝っているとは言えないはずです。
すなわち、「官から民へ」というスローガンは、事例によって当たっていることもあれば、当たらないこともある、いわばそれ自体意味のないスローガンなのです。
ですから、何故郵政民営化の場合に「官から民」の方が良いのかについての説明ないし根拠が、このスローガンとは別に必要となってきます。
ところが、郵政民営化報道で聞こえてくるのは、このような意味のないスローガン(=お題目)ばかりで、一向にその先が見えてきません。
私の経験上、このように意味のないスローガンが振りかざされる場合、「既得権益の擁護だ」と相手を批判しつつも、その実、単に新たな勢力が旧来勢力の権益を奪い取ることだけが目的である場合が多いように思います。
そして、新たな勢力の方が始末が概して旧来勢力よりタチが悪いことも、また、経験上多いように思います。