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2010.07.02
毎日、時間との闘いの下で仕事をしていると、どうしても移動にタクシーを利用することが多くなってしまいます。
最近は、タクシーに乗り込んだ瞬間にそのタクシーの運転手さんの力量というかこだわりがわかるようになりました。
タクシー運転手としてこだわりを持っておられる運転手さんは、車の中にチリ一つ落ちていません。隅々まで常に清掃されているため、清潔感が漂い、空気でさえも美味しく感じられるほどです。そんな場合、座席のカバーも質のよさそうな綿の、洗濯の行き届いていたものだったりします。こだわりの運転手さんは、タクシー運転手として、お客さんが快適に感じるように、つめの先まで神経を尖らせ、安全運転は勿論のこと、道順までもよくよく考えられています。いかにお客さんを心地よく目的地まで運ぶかということに専念しているのです。このような運転手さんは、たいていの場合、笑顔とあまりうるさくない心地よい会話をお客さんに提供してくれます。
短い間ですが、否、短い時間だからこそ、運転手さんの雰囲気はお客さんの居心地に大きく影響してくるのです。
先日、大阪の裁判所に行くのに、JR大阪駅から乗ったタクシー運転手さんは、その名運転手のお手本のような方でした。
私が座席カバーの美しさをほめると、初老の運転手さんは、「良いでしょう?これは綿で全て手作りなんですよ。職人さんに車の車種と登録年数を教えれば、職人さんが全車種に応じた座席の型を事前に作っておいて寸分たがわずピシッとしたカバーを作ってくれるんですよ。」とうれしそうに言った直後、少し寂しそうに「最近は、そんな職人さんも減ってしまったんだけどねぇ。」と仰っていました。
私は、「これぞ職人と職人の見事なハーモニーだな。」と思わず感心してしまいました。
私達弁護士も法曹人口に関して意見を言うと「ギルドだ。」といったご批判を受けます。しかし、当たり前のことです。私達弁護士も職人なのですから。
私は、この運転手さんとカバーを作る職人さんの話にちょっとした感動を覚えながらも「私達弁護士も、このタクシー運転手さんや座席カバーの職人さんのように、職人としてのこだわりを持って、一つ一つの事件に誠実に取り組み、いかに依頼者に満足してもらえるか、そんな気概をもちつつ、活き活きとし続けていかなければならない」との気持ちを新たにしました。