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2010.07.17
実録「弁護士は儲からない」という題の記事が平成22年7月16日付けのフライデーに掲載されました。
この記事には「月額10万円でボーナスなし、仕事は事務員と同じような雑用やお使い」でも弁護士からの応募があるといった話や就職先がなく事務所を立ち上げ「毎月最低13万円の経費がかかるのに月収10万円を切る月もある」と嘆く若手弁護士の話が載っています。
また、上記記事には、弁護士会費が払えずに弁護士登録を抹消する(弁護士を辞める)弁護士の存在や司法試験に合格するまでに(学費や生活費で)1200万円を超える借金を抱える弁護士の存在も指摘されています。
私自身、全国からいろいろな弁護士の実態を伺っていますので、この記事が決して誇張でも何でもないことは誰よりも実感しているところです。
先日、ブログで記載したとおり、弁護士という職業は、IT企業等一般のビジネスのように儲けを第一次目的にすべき仕事ではないとは思います。
しかしながら、フライデーの記事にあるように、最低限の経費や生活費さえ捻出できない弁護士を大量発生させるのは大問題です。
最近は、弁護士の不祥事も珍しくなくなってきました。でも、弁護士の仕事は、医師と同じく人権を直接切り刻む職業です。弁護士が自らの仕事を悪用したり濫用した場合に失われるのはかけがえのない依頼者や相手方の人権なのです。
このままの状態を放置すれば、弁護士の不祥事は後を絶たないでしょう。
また、弁護士は、公的役割を担っています。
弁護士が手弁当で公的活動を結実させ社会を変えて来たというのも一面真実でしょう。
しかし、自分の家族や事務所経費も捻出できない弁護士に対し、手弁当で他人の人権擁護や社会正義実現のために働き続けろと言ってみたところで、そこには自ずと限界があります。
経済的にも精神的にも余裕のない弁護士に公的役割を期待することは無理があります。
実際、弁護士会で行っている各種委員会や各種弁護団では、弁護士数は膨大な数に上っているのに参加するのはごくわずかで、しかも、どこともに高齢化(?)が目立ちます。
若手弁護士にはいろいろな意味で余裕がないからです。
弁護士、特に若手弁護士が経済的に追い込まれることにより発生するであろう結果の重大性、のみならず弁護士の公的役割の衰退の影響は金額には換算できませんが、甚大なものがあると思います。
一日も早く現状を改善する必要があると思います。
そのためには、一日も早く法科大学院制度を廃止すること、そして、司法試験合格者数を減らすほかはないと思います。