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司法修習生の給費制廃止問題

2010.07.29

 

 司法試験合格者は、司法試験後一定期間(現在は、1年間、以前は2年間)、全国各地に散らばり、或は、東京にある「司法研修所」というところで、裁判官・検察官・弁護士になるための実地の研修や実務に必要な理論について研修を受けます。
 そして、最後に、「二回試験」と呼ばれる卒業試験に合格して始めて裁判官・検察官・弁護士である法曹実務家になることができるのです。
 その間(司法試験合格後二回試験までの期間)、司法研修を受けている人たちのことを「司法修習生」と呼びます。
 正確ではないですが、イメージとしては、司法修習生は、研修医みたいなものといえばわかりやすいでしょうか。

 司法修習生は、実際に生の事件に携わるものですから秘密を守る守秘義務を負います。
 また、司法修習生は、国から給料をもらい、修習期間に実務を身につけるべく、司法修習に専念する修習専念義務をも負います。司法修習生の給料は、公務員の基準に従い、下から2番目の基準と同じ金額だそうです。

 ところが、この司法修習生の給料が今年11月から廃止されます。

 それが、司法修習生の給費制廃止問題です。

 司法改革の結果、弁護士や裁判官になるためには、大学を卒業した後に、更に2年間から3年間の法科大学院に通わなければならなくなりました。その結果、法科大学院を卒業するまでの間の生活費や学費として数百万円から1300万円弱の借金を背負わされることになってしまいました。

 その上、給費制が廃止されれば、それに1年間の司法修習期中の生活費として300万円がそのまま借金の金額として上乗せされることになります。なぜなら、前述したとおり、司法修習生には修習専念義務がありますので、その間、アルバイトをすることができないからです。

 このように、司法改革により法科大学院を卒業していることを強制され、司法修習期間の生活費がその上に加算されるわけですから、よほどのお金持ちのご子息か、住宅ローンなみの多額の借金を厭わない希有の人しか弁護士や裁判官になることはできなくなってしまうわけです。

 勿論お金持ちのご子息が悪い等といったことは申し上げるつもりは毛頭ありません。

 しかし、そのような人しか弁護士や裁判官や検察官になれないというのでは、法曹三者(弁護士・裁判官・検察官)の給源があまりにも偏ることになるのではないでしょうか。
 
 皆さんは、お金持ちのご子息だけで構成された裁判官や弁護士・検察官による裁判を受けたいと思われますか?



 

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