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2010.08.10
先週土曜日午後2時から午後4時に兵庫県弁護士会で給費制シンポ「STOP!貸与族」が開催されました。
当日は、日弁連の宇都宮会長からのビデオレター、自作DVDの上演、パネルディスカッション等が行われました。
パネルディスカッションで印象的だったのは、法科大学院卒の司法試験受験生の声です。その方によると、「法科大学院生は、これ以上の借金を抱えないよう、食べるものも我慢して支出を抑えている。これ以上の借金を負わされることになれば、弁護士になって少数者の人権擁護・社会正義を実現するために法曹になるとの高い志が折れてしまう。私達の志を挫折させないで欲しい。」と切実に訴えられました。
また、会場発言では、「給費制の問題は枝葉末節で、法曹人口問題の方が根本的な問題である。法曹人口は、給費制にとっても重要なことなのに、何故今日は法曹人口の話をしないのか。」といった発言や「この問題は平成16年に決まったのだから、何故今頃になって反対しているのか、もっと前に反対しておかなければならないのではないか。弁護士会はこれまで何をしていたのか。」「皆が予算増大をばかり叫んでいたら国は借金だらけになる。全体としての予算のことを誰も発言しないのはなぜか。」といった市民のご発言を頂戴しました。
会場発言はどれもごもっともなお話です。
兵庫のシンポでも明らかとなったのは、やはり元凶は「司法改悪」にあるということでしょう。
給費制廃止が決まったのは、合格者数を激増させることが決まったこととセットです。これは、国会の審議でも法曹検討会議の議論でも議事録に明確に書いてあります。すなわち、給費制廃止の問題は、法曹人口の激増から派生した問題なのです。
弁護士会がこれまで熱心に給費制維持の問題に取り組んでこなかったのも、弁護士会が3000人路線・法科大学院を先頭に立って推進してきたので、その上更に給費制を維持しろなどとはあまりに虫がよすぎて強く言えなかったからにほかならないでしょう。
また、司法試験合格者の抱える借金の大半は、法科大学院卒業までに、或は、卒業後合格するまでにできた借金です。給費制を廃止したところで、焼け石に水という状態なのです。
予算全体として考えても、法科大学院関連予算として200億円をはるかに超える予算が流れています。以前は法科大学院制度はなかったわけですから、以前は全く組む必要のない予算でした。
この法科大学院関連予算をゼロすれば、給費制維持など軽くクリアできるのです。
上記会場発言は全て一般の人の意見ですが、いずれも的を射ています。
根本的な問題を解決せずして給費制のみを維持しても真の解決にはなりません。
給費制維持の運動を進めるにしても今一度立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。