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2010.08.29
日弁連のアンケート調査で司法修習生のうち43%が就職先を見つけられていないという報道があったことは何度も申し上げました。
日弁連のホームページには司法修習生が就職先を探すために求職者として登録する「ひまわり求人・求職ナビ」というページがあります。そのページには、ナント未だに1000人以上の司法修習生が登録しています(今日現在で1021名)。
43%の未就職率というのは、日弁連のアンケート調査に回答した修習生のうち43%の人の就職先が決まっていないということです。日弁連のアンケート調査に回答しない人がどのような実態かは、回答者の数字を類推して計算することになります。でも、就職先の決まっていない多くの人がアンケートに回答しないことは十分考えられます。
就職先の見つかっていない修習生からは、「毎月毎月日弁連から就職についてのアンケート調査が来る度に惨めになる。日弁連が就職先を見つけてくれるわけでもないのに、何故答えなければならないのか。」といった声も聞こえてきます。
従って、ひまわり求人・求職ナビの登録者数の多さは、事実を反映している可能性があります。
そして、ひまわり求人・求職ナビへの登録者数の多さについては、3通りの理解ができると思います。
1つは、就職先が未だ見つかっていない修習生が今日現在で1000名程度実際に存在するということ。
2つ目の理解は、一応就職先は見つかったが、自分の希望する就職先ではないため、継続して他の就職先を見つけるべく求人登録している人が多く存在する。
3つ目の理解として、就職先が見つかっているが、登録抹消の手続きを行っていない人が多く存在する。
といった理解です。
1つ目だとすると、現段階で、1000人程度の就職先のない修習生が存在すると言うのですから、一括登録日の12月には、就職先がなく、オンザジョブトレーニングの機会に恵まれない人が800人以上出る可能性が出てきます。
2つ目は、結局は、就職先が見つかっていないに等しいと思います。就職先が見つからないために嫌々仕事に就いても、結局は、数ヶ月乃至短期間で辞めてしまう可能性も高く、その場合は、結局、路頭に迷うことになります。
3つ目の可能性は低いと思います。これほど就職先が見つからない修習生が大勢存在するにもかかわらず、また、同期の仲間が就職先を見つけるのに苦労している姿を目の当たりにしながら、就職先が見つかっても登録抹消する手続きをしていないとは考えにくいからです。仮に、希望する就職先が見つかったのに登録抹消手続きをしようとしない修習生が大勢存在するとすれば、それは「質の低下」そのものを意味することになります。登録抹消手続き程度の事務手続きさえしない修習生が弁護士になった瞬間に雑務に追われる弁護士業務を満足にできるとは思えないからです。また、仲間に対する思いやりも持てない弁護士が依頼者に対する思いやりや正当な人権感覚を身につけているとは考え難いからです。
いくら何でも3つ目の可能性は低いはずです。否。3つめの可能性は低いと思いたいです。
そして、1つ目の事態にしても2つめの事態にしても、修習生の希望する就職先がないことに変わりありません。
年間司法試験合格者数2000人でも1000人近い行く宛のない修習生が存在するのですから、来年すぐにでも司法試験合格者数を1000人にしても多すぎると思います。
行き場のない弁護士が世の中にひしめき合う過当競争がどのような弊害を社会にもたらすのか、想像するだに恐ろしくなります。