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2010.11.13
11月の法曹人口政策会議では、「1000人などと言うことを日弁連が言ったら、弁護士を目指す人が少なくなくなる。1000人と言って、法科大学院生に『来るんじゃないよ。』と言うのは、いかがなものか。」といった趣旨の発言がありました。
法科大学院の教授等関係者もよく「合格率を下げたら法曹を目指す人がいなくなる。」といった趣旨の発言をしているのをあちこちで見聞きします。
しかし、本当に合格率を高くすれば、法曹を目指す人が多くなるのでしょうか。
司法試験の合格率は長らく1%~2%程度でした。
今の合格率は30%程度でしょうか。
当時と比べて今の司法試験の合格率は15倍以上のかなり広き門になっています。
しかし、それでも現在の法科大学院志望者数よりも合格率1%~2%の時の方が司法試験受験者数の人数は多かったのです。
このように司法試験は15倍以上の広き門になっているのにもかかわらず、法曹への志願者が毎年激減しているですから、「合格率を低く抑えるから志願者が減っている」わけでないことは、少し考えればわかるはずです。
そもそも簡単に合格できるから司法試験を受験するという人に法曹になってもらっては困るのですが、志願者が減っている一番の理由は、新司法試験に合格するために法科大学院へ行かなければならないからでしょう。三振アウト(5年内に受験回数3回で合格しなければ司法試験受験資格を失う制度)も、志願者が激減している一つの理由であると思います。
司法改革の後、新司法試験の受験資格を得るためには、4年大学を出た後、2年から3年間、法科大学院に行かなければならくなりました。法科大学院を出るまでには高い入学金のほか年間150万円前後の学費に加え、自分と家族の生活費を賄わなければなりません。きわめて経済的に恵まれている稀有の人を除いて多くの人が司法試験に合格するまでの間に数百万円から1000万円を超える借金をしています。その上、3回の受験回数のうちに合格しなければその投下資本と長い年月が全て無駄になってしまうのです。その上、司法試験に合格したとしても、就職先はありません。受け入れ事務所を見つけることができたとしても、低い給与でも安定した収入があればマシな方で固定給がないということも増えてきました。貯蓄を取り崩して経費を捻出したり、親からの仕送りで経費を捻出する弁護士も現れているのが現実です。
ここまで現状を書けば何故法曹を目指す人が減っているのか、その理由は説明するまでもないでしょう。
合格率を減らすから、志願者が減るというのは、1000人でも合格率は以前と比較して合格率は異常に高いのですから、「合格率を減らすと」と言う前提自体間違っていますが、間違っているのはそれだけでないことは明白なのです。
何故明らかに不合理な意見を言われるのでしょうか。
もう少し誠実な議論をしようではありませんか。