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2010.11.24
「年間司法試験合格者数1000人にすべき。」という意見が「市民やマスコミに理解が得られるか。」との司法改革推進派、弁護士激増派からの意見があります。
この意見が不合理なことについては、過去のブログでも触れさせて戴きました(11月7日をご参照下さい)。
この意見の特に酷い部分は、きわめてご都合主義的なところです。
例えば、給費制維持の運動の際には、「司法修習生の給費制維持」は、「市民やマスコミの理解が得られるか。」「給費制維持は市民やマスコミの理解は得られないから、言うべきでない。」とは誰も言いません。給費制維持の際は、マスコミや市民に理解されようとされまいと、反対されたとしても正しいことを言うべきとのスタンスを各弁護士乃至各弁護士会が貫きました。
そして、案の定、大手マスコミは、給費制維持に、こぞって反対しました。
マスコミのみならず、一部の市民からも「皆、不景気で経済的に困っているのに、何故法曹のみ税金で教育されることが許されるのか。それは弁護士のエゴではないか。」「税収は限られているのだから、修習生に回す予算があるのなら、他に回すべき。」との御意見を頂戴することが事前に予想され、実際、そのような批判も受けました。
ところが、給費制の運動の時は、「給費制維持は市民・マスコミの理解を得られないから言うべきではない。」との意見を言う人は、1人としていませんでした。
にもかかわらず、法曹人口問題では、もはや論理的な批判ができないと見るや、急に市民やマスコミを持ち出し、「年間司法試験合格者数1000人は市民やマスコミの理解を得られないから、止めた方が良い。」というのは、あまりにも勝手な意見でしょう。
「小人の過つや、必ず文る(かざる)」論語で子夏の言った言葉ですが、時代を超え、国を超えて当てはまる名言ですね。