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2011.05.08
4月23日に京都国際会館で行われた法曹人口問題に関する国際フォーラムに参加してきました。
フォーラムのパネルディスカッションには、日本・韓国・中国・マレーシアの法曹が参加されており、日本を代表して宇都宮会長が発言されました。
脱線しますが、フォーラムを聞くだけで、会費1万円もかかるというのは、弁護士、特に若手弁護士の実情に対して全く無理解としか言いようがありません。
それはおくとして、問題は内容の方です。
※なお、以下は私の記憶に基づく内容で、必ずしも正確でないことをあらかじめ断らせて戴きます。
このフォーラムで、宇都宮会長が仰っていたことは、「日弁連として法曹人口が増えていくことは良いことである」という日弁連としての基本的立場を説明され、「急激に増えすぎたことで就職難等による弁護士の訓練不足といった問題が生じ、その結果、弁護士業務の質の低下がもたらされている」ことを指摘されました。
また、宇都宮会長は、「司法過疎は弁護士が増えるだけでは解消されない。現在、我が国の司法過疎が解消しているのは、日弁連の積極的な努力によるものである」こと、「弁護士人口増には基本的には賛成であるが、法的需要等の状況を見ながら、司法基盤の整備状況の拡充との相関関係で増員のペースを考えるべきである」ことを指摘されました。
宇都宮会長の「司法改革の基本的スタンスは間違っていなかったが、あまりに急激過ぎたので、周りの状況との関係で修正が必要」との認識は、「司法改革自体がそもそも間違っていた」との私のスタンスとは異なり、違和感を覚えざるを得ませんでした。
そして、私が一番宇都宮会長の説明で誤っていると思ったのは、宇都宮会長が「司法改革の問題の1つは、法科大学院志願者数が4分の1に激減していることである。これは、合格率が低いからである。合格率の低さをただして当初の計画通り7割か8割の合格率にもっていく必要がある。」と説明された部分です。
この点は、以前にもこのブログで申し上げましたが、現在のように、司法試験を受験するためには、高い学費と長い年月をかけ、進路変更が事実上不可能になる法科大学院を卒業しなければならない制度になり、弁護士資格を取っても就職先がなく、独立しても赤字経営で家族を養うこともままならないような状況になれば、志願者が減るのは当たり前のことです。
私たちが受験していた当時の司法試験合格率1%、2%でも志願者数が減らなかった事実からして、合格率の低さが受験者数の激減に必ずしもつながらないことは既に実証されています。
最近の合格率は、30%から多い年で48%程度です。
以前の1%た2%といった合格率と比較すれば、どれほど合格しやすくなっているか分かりません。
にもかかわらず、法科大学院の志願者数が毎年毎年激減しているのは、司法試験の合格率の問題でないことは明白でしょう。
以前は、司法研修所を卒業して、弁護士資格を取得したのに弁護士登録しなかったのは、学者等になる10人前後でした。
ところが、今では、弁護士資格が取得できたのに、弁護士登録をしなかった人数が258名(一括登録日現在)に上ることからしても宇都宮会長の認識が間違っていることが統計的に裏付けられると思います。