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2011.06.11
今年12月に弁護士になる修習生の就職状況は、大変厳しいようです。
昨年12月の弁護士一括登録日に弁護士登録しなかった、或いは、登録できなかった人の数は、258名でした。2200人のうち約1割以上が登録できなかったわけですが、258名というのは就職先の見つからなかった修習生の数ではありません。
就職先が見つからなくても「ノキ弁」や「即独」として弁護士登録する潜在的就職難民は、この258名の中には含まれていないからです。
一昨年の弁護士一括登録日に弁護士登録しなかった人の数は184名だったので、毎年大幅に未登録者数が増えています。
今年の12月の未登録者数は更に増加するでしょう。
現在就職活動をしているのは64期の司法修習生ですが、とても優秀で人柄も良く、その上学歴等が良くても就職先が決まっていない人が沢山います。
皆「就職先がないとは聞いていたけれど、ここまで大変だとは思わなかった。」と口を揃えて言われます。
法曹需要の有無は、ある程度弁護士の就職先が見つかるか否かで推し量ることができます。
弁護士に対する需要があれば、法律事務所が新人弁護士を雇うことに何ら躊躇する必要がないからです。
法曹需要があると喧伝していた弁護士、司法改悪を進めてい弁護士は、何故弁護士を雇い続けないのでしょうか。
「弁護士にとってオンザジョブトレーニングは大切だ」「即独は望ましくない。」といった意見は、弁護士全般に共有される意見です。
私たちのように「急増に見合う法曹需要は存在しない。」として司法改悪に反対していた弁護士が新人弁護士を雇わないのは分かりますが、「急増に見合う法曹需要があるのだ。」と主張していた弁護士が就職先の見つからない弁護士を全て雇い入れないのは、言行不一致でしょう。
就職先が決まらない修習生の気持ちを考えると本当にやりきれません。
「『弁護士を増やすな』と言うのは弁護士のエゴ」「工夫次第で法曹需要はいくらでも見つかる。」「地方では弁護士が足りない。」などと言った無責任な発言をしてきた弁護士や学者連中を見ると身体が震えるほどの憤りを感じます。
一体全体このような人達は、多大なお金と時間と労力を掛けて法科大学院に通い、就職先が見つからない修習生の気持ちを考えたことがあるのでしょうか。
数十の事務所を周り、採用拒否の連絡を受ける度に、自分の人格まで全否定されたような絶望的な気持ちになる修習生の気持ちを考えたことがあるのでしょうか。
私は、司法試験合格者が700人程度の時代でしたが、それでも女性は就職先が厳しく、二回試験(卒業試験)の直前にやっと就職先が決まった同期の女性弁護士もいました。私も就職先を見つけるのには苦労し、就職活動のために20くらいの法律事務所を訪問しました。
司法改悪が始まった当初、私が「3000人など荒唐無稽な数字で、1000人でも無理である」と確信をもって声高に言うことができたのは、当時の司法制度改革審議会の統計資料に基づいたものでしたが、同時に自分の経験からして1000人でも就職先が見つからないであろうことを実感として分かっていたからです。
何も知りもせずに、かつ、人の気持ちを推し量ろうともせずに無責任な発言を繰り返す人達に「人権」がどうのと言う資格はないでしょう。