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2011.06.20
「年間司法試験合格者数を現在の2000人よりも減らすべきだと主張する弁護士は、自らが経営に困っている弁護士」と言うレッテル貼りは未だに奏功しているようです。
そもそも、司法試験合格者数を1000人に減らしても年間500人は毎年増えていくので1000人説と言えども「増員論者」に変わりないのですが、1000人との政策を打ち出すべき等話しをすると、必ずと言っていいほど「そもそも私は仕事がたくさんあるから(合格者を減らす必要はない)。」という反応が返ってきて非常に違和感を覚えます。
正直私も今現在経営に困っているなどということは全くありません。
むしろ他の弁護士よりも忙しいと思います。そのため2人目のイソ弁を入れざるを得なくなったほどですから。
法曹人口問題は自分の経営の問題とは関係なく考えて欲しい問題なのです。
私などは弁護士業を廃業しても生活に困るわけではない典型的な例ですが、私に限らず法曹人口問題で頑張っている弁護士は、自分が潤っていようといまいと、司法制度としてどのような制度を目指すのかを問題しているのです。
弁護士自治を失い、市民が困るような司法制度にして良いのかどうかということを問うているのです。
各の弁護士に仕事があるとか、生活できるとか、そのような問題を問うているのではないのです。それなのに、法曹人口問題の話しをすると「自分は仕事があるから。」云々そのような反応が返ってくると本当にがっかりしてしまいます。
また、「自分には仕事がある。」と言われる弁護士に考えて欲しいのは、後輩弁護士の存在です。
弁護士業を長くしていると、過去の依頼者が新たな依頼者を紹介してくる、或いは、弁護士人口が増える前に顧問契約を結んだ顧問料が入ってくると言う「既得権益の上に「仕事がある」と言うことが多いと思います。
しかし、若い弁護士は、そのような既得権益がありません。
すなわち、そもそも弁護士の世界の中で平等な自由競争などあり得ず、持てる者と持たざる者との競争ですので、ある程度勝敗も自ずと決まってきます。
法曹人口問題を語る時、「自分には仕事があるから。」と言うことを先輩弁護士は決して言うべきではないと私は思います。