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2011.08.09
給費制の廃止は、当初から決められていたように見えます。
法曹養成フォーラムでも議事録を拝見していると「給費制廃止。貸与制移行」の結論「先にありき」が見え見えです。
ご丁寧なことに、法曹養成フォーラムの議論が行われた直後に、政府が「給費制廃止、貸与制移行」との見解を公式発表する始末ですから、「今度こそ、絶対に貸与制に移行させるぞ。」との意気込みが聞こえてくるようです。
では、何故これほどまでに司法修習生の給費制を廃止して貸与制に移行させたいのでしょうか。
勿論、人それぞれの思惑が渦巻いているのでしょうが、私なりに予想してみることにしましょう。
まずは、弁護士人口を激増させたいとの立場からすれば、給費制が維持されれば、国家予算による上限がついて回るので、司法修習生の給費制は弁護士人口激増の足かせとなります。他方、給費制が廃止されれば、国家予算による人数制限にとらわれることなく、いくらでも司法試験合格者数を激増させることができます。
その意味で、司法試験合格者数を激増させることにより法科大学院制度を死守できると考える人たちにとっても、司法修習生の給費制は、まさに「目の上のたんこぶ」であったと言えるでしょう。(実際には、合格者数を急増させても弁護士としての職業の魅力がなくなるので、結局、法科大学院は破綻するのに、このように誤解されている方が多いようです。)
このように司法試験合格者数を激増させたいと考える人たちが給費制廃止を唱えることには、賛成はできませんが、意図を理解することはできます。
また、財務省の見地からすれば、法曹養成制度として法科大学院制度ができ、ただでさえ膨れ上がった司法予算との関係からすれば、予算削減のためには給費制を廃止し、貸与制に移行させたいという気になるでしょう。ただし、その場合でも、給費制以上に莫大な国家予算を費やしているのは法科大学院制度の方ですから、法科大学院制度にも大鉈を振るいたいと考えるはずです。
このように、給費制を廃止させたいとの司法改革推進論者、法科大学院関係者や財務省関係者の意向はよく理解できます。
理解できないのは、労働組合や消費者団体の関係者の意向です。
司法修習生の給費制が廃止されれば、今後、法科大学院を卒業するまでに数百万円から1000万円を超える「奨学金」という名の借金に加え、300万円の司法修習生時代の「貸与制」でできた借金を背負った弁護士が大勢を占めるようになってきます。或いは、弁護士になっても借金返済のめどが立たなくなってきている以上、もともとお金持ちしか弁護士を目指さなくなり、弁護士がお金持ちの師弟ばかりで形成されることになるでしょう。
勿論多額の借金を抱えても、或いは、お金持ちの師弟であっても、労働者や消費者のために骨身を削って尽力する人はいるでしょう。
しかし、傾向として、そのような人たちはあまり多いとは思えず、給費制を廃止すれば、労働組合や消費者団体の思惑と逆行する結果となると思うのですが、いかがでしょうか?
労働組合や消費者団体の関係者が給費制廃止を声高に叫ぶ、その意図が私にはわからないので、どなたかご教示いただければ幸いです。