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若手弁護士の声

2011.09.06

 

 昨日、鈴木先生の講義を引用しましたが、その際、「先輩弁護士のような贅沢は望みません。人権活動ができるだけでも幸せです。」という若手弁護士の言葉を用いました。

 このような若手弁護士の声があることを知ったとき、私は、若手弁護士が本当に気の毒だと思いました。

 弁護士の人権活動について『成仏理論』という考えがあることは以前お話したかと思います。
 
 『成仏理論』をわかりやすく説明すると、「弁護士は、人権活動・社会正義実現のために弁護士になったのだから、人権活動をして成仏しても(赤字経営で弁護士を廃業しても)本望のはずだ。せいぜい人権活動をして成仏して下さい。」といった考えとでも言いましょうか、そのような理論です。
 ちなみに『成仏理論』を言い出した学者も今は弁護士登録されているので、さぞや人権活動に勤しみ『成仏』に向かって突き進んでおられることと思います。

 上記若手弁護士の声は、いかにも『成仏理論』にかなった意見です。
 
 このような言葉は、生死といった究極に追い詰められた時に出る言葉ではないかと思います。

 例えば、阪神大震災或いは東北大震災により生死を分けるところまで追い込まれると、人間は「生きてるだけでも幸せ。」といった言葉が思わず口をついて出ます。
 そこまで追い詰められると、生きていること以外は全て贅沢な悩みのように感じられるものです。
 
 「就職先がなくても、赤字経営等で生活ができなくても、弁護士として人権活動ができるだけで幸せです。」このような言葉を吐いて自分自身を納得させる、そこに若手弁護士の辛酸レベルの深さといったものを思い知らされました。。。

 それなのに「若手弁護士がよいと言っているのだから。」と若手弁護士の声を逆手に取り水戸黄門の印籠のように持ち出すことのできる人がいたとしたら、私はその方の人権感覚を疑わざるを得ません。


 
 

 

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