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2011.10.30
TPPの議論がマスコミで盛んに行われています。
野田首相がTPP参加の意向を固めたとの報道もありました。
しかし、TPPに参加するべきではないと私は思っています。
TPPの内容について賛成できないのはもとよりのことですが、推進論者の意見には合理性がなく、全く納得できないからです。
TPPに参加することによるメリットは、どのTPP賛成論者の話しを聞いても良くわかりません。
というか,賛成論者の議論にはどれも合理性が認められません。
「参加して議論の土壌に載らなければ乗り遅れる。TPPに参加し、交渉した方がアメリカとの二国間交渉よりも有利になる可能性がある。」
「参加して関税障壁等を撤廃すれば,日本も国際的市場に参入ができ、日本経済が潤う。」
「我が国の農業は,GDPの1.5%でしかなく、農業を守るために残りの98.5%の産業を犠牲にして良いのか。」
「市民も安く食品やブランド品を購入できる。」
一見すると、どれももっともなように見えます。
でも、少し考えると,いずれも出鱈目であることがわかります。
例えば、「TPPに参加し、交渉した方がアメリカとの二国間交渉よりも有利になる。」とのことですが、TPPでは,アメリカのルールがTPP参加国に一斉に押しつけられることは目に見えています。我が国では、TPPに反対する人達がこれほど多数を占めるのに、アメリカの顔色を伺い,参加を強制されようとしている日本がTPPの中の議論で対等な交渉などできるはずがありません。そもそもTPPで多数決を採られたら,交渉の余地など全くないのです。多数決の怖さを知らないとでも言われるのでしょうか。アメリカからすれば、日本以外の他の国を賛成させれば、これまでのように1つ1つ日本との二国間交渉でやってきた煩わしさから解放されるのですから、こんな有り難い話しはありません。
「参加して関税障壁等を撤廃すれば,日本も国際的市場に参入ができ、日本経済が潤う。」とのことですが、関税障壁が撤廃され、これまでアメリカにとってのみ有利な規制緩和が進み、他方で、我が国の産業がことごとく衰退の道を辿っているこの現状を目の前にして,未だにこのような議論が通用するとでも思っているのでしょうか。
「我が国の農業は,GDPの1.5%でしかなく、農業を守るために残りの98.5%の産業を擬制にして良いのか。」とのことですが、TPPに参加することにより壊滅状態に追い込まれるのは,農業だけではありません。ありとあらゆるサービス業というサービス業が全て犠牲を強いられることになります。自由競争には本来的に馴染まない医療や法律分野もその例外ではありません。
これは、TPPに関する米国の報告書を見れば明らかです(http://www.ustr.gov/webfm_send/2751)。
繰り返しますが、TPP参加により打撃を受けるのは、我が国のほとんど全ての産業です。
この議論ほどあからさまな虚偽に近い議論は,「詭弁」というにも価しないでしょう。
「市民も安く食品やブランド品を購入できる。」とのことですが、これは裏を返せば,我が国の産業がことごとく壊滅状態に追いやられることを意味します。また、この意見は安いだけが「善」というアメリカ的価値観に基づいた議論に過ぎません。私達にとって価格よりももっともっと大切な健康や安全安心といった価値が犠牲にされるのですから,総体的に見れば,国民にとって有り難いことでは全くありません。
TPPに参加することにより、日本にとって良いことは1つとしてありません。
TPP賛成論者の主張するメリットがいずれも妥当しないことは明白なのです。
そもそもマスコミは、TPP参加に反対を表明する人達を「TPP慎重派」とわざと間違った表示をすることは止めて戴きたい。
「反対派」なのであって、「慎重派」ではありません。
「慎重派」と称することにより, あたかも「(TPP参加は良いことであって)TPP参加に反対する人は存在しない」かのごとく国民に印象づけようということなのでしょうが,そのような汚い手法は止めるべきです。
TPPの議論を見ると,誰が国を,そして市民を犠牲にすることを厭わない人達なのかが良くわかります。