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2012.05.03
4月27日の日弁連会長選挙は、山岸氏が8546票、宇都宮氏が7673票で、山岸氏が19の単位会を押さえたことから、最終決着がつきました。
私としては、正直非常に残念です。
宇都宮氏の敗因分析として、いろいろなことが言われていますし、敗因の原因というのも1つでないことは確かでしょう。
ただ、私としては、一番の敗因は、やはり法曹人口問題で有権者に明確な違いを打ち出すことができなかったことにあると思っています。
もし、日弁連が宇都宮会長時代にせめて「年間司法試験合格者数を1000とすべき」と言う意見を明確に打ち出すことができていたら、かなり状況は異なっていたのではないかと私は思っています。
実際、私は、多くの、特に若い会員から、「宇都宮さんは、法曹人口問題で何もしなかった。失望した。」との声を聞いていました。
昨年11月の日弁連法曹人口政策会議で1500人で各単位会に意見照会することが決まった、あの瞬間が天王山だったのです。
なぜなら、その時点で、既に山岸氏が1500人を打ち出すことが決められていたのですから、1500人で日弁連のまとめられれば、日弁連会長選挙で法曹人口問題について争点となり得なくなってしまうことになるからです。
その結果、山岸氏陣営の狙い通り、法曹人口問題では両者に違いがでず、宇都宮氏と山岸氏との争いは、日弁連会長職にかつてなかった再選を容認するのか否かという問題に矮小化して捉えられることになってしまいました。
政策で明確な違いがでない場合は、バランス感覚を大事にする弁護士に対して、「日弁連会長は、エンドレスに続くのではないか。」「早く決着をつけて今日弁連が直面する難局に一致団結して立ち向かわなければならない。」とささやかれれば、ひとたまりもありません。
その意味では、山岸氏の戦略勝ちと言えるでしょう。
秘密保持が厳格に適用されていた日弁連法曹人口政策会議において、意見照会の段階で1500人という意見書の内容が当日毎日新聞にリークされたことは、記憶に新しいところです。
未だにリークした人が誰かはわかっていません。
「『1000人』と『1500人』とでは大差がない。」
「1000人に削減するまでの間に1500人も通るであろうから、1000人と1500人とに違いはない」
といった意見があります。
しかし、年間司法試験合格者数の「1000人」と「1500人」とでは、500人という数字以上に決定的に意味するところのものが全く異なります。
なぜなら、山岸氏が選挙葉書に記載されていたとおり、「1500人」であれば、法科大学院制度の存続の余地があるのに対して、「1000人」だと法科大学院制度自体の存続が事実上不可能になるからです。
喫緊の問題である法曹人口問題に取り組むことを勝利直後の記者会見で言われた山岸氏がどのような活動をするのか、今後、注視していく必要があると思います。