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「法科大学院問題とは何か」(愛知県弁護士会研究会)

2012.07.23

 

 昨日の愛知県弁護士会の研究会の圧巻は、後半に行われた戒能通厚先生の講演でした。

 戒能先生は、「法科大学院の崩壊は、法学部の崩壊を招いている。法学部の崩壊は、弁護士の供給源の枯渇を意味する。法科大学院の崩壊は、法曹の崩壊と同時に法学の研究者養成課程の崩壊の2つの側面がある。この2つの点、すなわち、大学の危機をも念頭において戴きたい。」ことを指摘され、フランス映画(「イリュージョナリスト})を引き合いに出され「司法改革は、イリュージョン。法科大学院のイリュージョン。イリュージョンをやった張本人は悪いとは思ってはおらず、夢を叶えようとも思っていない。負の連鎖を断ち切らなければ駄目。」ことを説かれていました。
 すなわち、この負の連鎖に携わってきた人、司法改革を推進してきた張本人にはご退場戴かねば、この流れを絶つことはできないと言うことを明確に指摘されたのです。

 そして、戒能先生は、連携法の付則に10年後の見直し規程があることを指摘された上で、「とにかく、司法試験受験資格からこ法科大学院修了という要件を一旦停止し、法学部、研修所、弁護士会が司法制度全体の大きな視点から検証する必要性を説かれました。
 
 いずれも私達がこれまで言っていたことではありますが、学者の立場から公の場でこのような発言をして戴けたことは大変意義深いことです。

 隔世の感があるなどといった感傷に浸っている暇はありません。

 逆に言うと、公の場において、法科大学院設置側の学者が警鐘を鳴らさざるを得ないほどに危機的な状況にあることを私たちは自覚しなければならないということです。

 「このままだと、この数年で法曹養成制度及び法学研究者養成課程は大変なことになる。」と昨日も戒能先生が何度か口走っておられたを重く受け止め、一刻も早く止める活動をしなければなりません。

 なぜなら、それを止められるのは、自治が認められ、自由に行動し、発言できる法曹の専門家たる私たち弁護士以外にはいないからです。

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