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2012.08.20
日弁連各委員長に日弁連山岸憲司会長から「「これからの司法像」に関する検討について」と題する平成24年7月23日付書面が配付されています。
山岸会長は、この書面で「この提言を委員間で共有・確認いただき、所管事項に取り組む際の参考資料としてご活用いただきたく」と記載されています。
そして、上記書面に「共有・確認」し「参考資料」として活用すべき書面というのは、「司法改革実施対策ワーキンググループ」が作成した「これからの司法像に関する基本的提言」と題する書面です。
この「これからの司法像に関する基本的提言」は、「日弁連の会を挙げての司法改革を求める運動は、世論の支持を受けて広がり、他方、規制緩和のもとでの司法の強化を求める経済界の要求とも合流する中 で、2001年の司法制度改革審議会意見書に結実した」と自画自賛に始まり、規制緩和や経済界の要求まで賞賛するかのごとく書かれています。
この司法増、もとい司法像に関する提言は、更に続けて「しかし、これは、日弁連が求めた「司法の抜本的改革」からすれば、第一歩が始まったにすぎない」と司法改悪を推進することを高らかに宣言します。
そして、 「弁護士が数多くいたとしても、弁護士が国民から必要とされているサービスを適切に提供できなければ意味はない。その国民のニーズに応えるためには、弁護士は、従来の裁判中心、紛争解決中心の活動にとらわれることなく、それ以外の分野へも活動を広げていくことが必要である。」と弁護士としての就職先がなくとも弁護士を増やして有資格者を増やすべきとします。
その上で「経済ベースでは弁護士のもとにアクセスが困難な社会的弱者 に対して、弁護士の方から手を差しのべていくような活動を積極的に進めるべきである。これは紛争の場面にかぎられるものではない。」と弁護士が積極的に事件漁りの推奨及び法的需要がなくとも弁護士数の増加を目指すべきことが書き連ねられています。
ここまで司法改悪の弊害が出現しても、司法改悪を進めたことに対する反省どころか、このような旧態依然としたスロー ガンを高々と掲げて、司法改悪を踏襲して委員会運営をすべきとの「お達し」が出るのですから、本当に開いた口が塞がりません。
日弁連の委員会運営は、日弁連の方向性を決めるべき大変重要な公益活動です。
司法改悪で変質させられたとは言え、本来、弁護士は単なるビジネスマンではありません。基本的人権を擁護し、社会正義を実現すべき社会的使命を帯びているのです。
弁護士としての本質は、営業活動ではなく、これら委員会活動により成り立ちうると言っても過言ではありません。
この「これからの司法像に関する基本的提言」という書面は、各単位会に意見照会されたわけではなく、日弁連理事会を通ったものではありません。
司法改革実施対策ワーキンググループというのは、少数の委員により構成されたあくまでも「ワーキンググループ」にすぎないのです。
このようにして、委員会運営を決める指針が、正式な「委員会」ではない「ワーキンググループ」によって決められ、我々会員にその内容が知らされることもなく、単位会意見照会どころか日弁連理事会さえ通されることなく、上からのお達しにより強要されることはきわめて問題であると思います。