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法曹人口と法曹養成の危機打開のための提言

2012.09.01

 

 私達有志で全国の弁護士に法曹人口と法曹養成の危機打開のための提言に賛同を呼び掛けるファックスを送っています。

 提言の全文を2度に分けて掲載させていただきます。
 全国の弁護士の皆様におかれましては、是非ともご賛同いただきますようお願い申し上げます。
                   記

    法 曹 人 口 と 法 曹 養 成 の 危 機 打 開 の た め の 提 言

                                     2012年9月3日
弁護士1万人による法曹問題に関する提言運動の呼びかけ人(略)

 司法改革により法曹養成制度及び弁護士制度が崩壊の危機に瀕した現状を打開すべく、以下の提言をする。

                        記

第1 提言の趣旨
 1 司法試験合格者数を適正規模(年間1000人以下)にする。
 2 司法試験の受験資格の制限(法科大学院修了、5年以内3回受験)を撤廃する。
 3 司法修習の前期修習及び給費制を復活させる。
第2 提言の理由
 1 法曹養成と弁護士制度の危機的状況(合格者激増の弊害)
  2001年6月の司法制度改革審議会意見書を受け、2002年3月の閣議で司法試験合格者を2010年までに年間3000人に増員することを決定し、この10年に年間1000人から2200人程度まで増員された。
この合格者の激増に伴い、2006年に司法修習修了試験の不合格者が100人を超え、2008年に最高裁判所が修習生の質の低下を懸念する文章を公表するなど法曹の質の低下が問題とされてきた。
合格者数を急増するのであれば教育を充実すべきであったが司法修習期間は2年から1年に短縮され、更に就職難によりオン・ザ・ジョブトレーニングの機会が失われ、2011年12月の弁護士一括登録日の未登録者は400人に上り、加えて従来の勤務弁護士でない不安定な就労形態の弁護士が増加している。
弁護士だけを急増させたため弁護士が過当競争に晒され、宣伝と商売上手を競い、職務の適正と独立性を失い、事件漁りや依頼者に従属する傾向を強め、濫訴が増える一方で、公益活動を担う余裕を失い、会内の民主制を形骸化させ、国民の人権を擁護し如何なる権力にも対峙すべく認められた弁護士自治を危機に陥れ、空洞化、無力化させている。
2 司法試験の合格者数を適正規模(年間1000人以下)にすること
上記の閣議決定は、「現在の法曹人口が」「法的需要に十分に対応することができていない」ことが理由であった。しかし、2003年の弁護士数1万9508人から2011年に3万0485人と56%増加したにもかかわらず、裁判所の事件数は2003年の611万5202件から2011年に405万9773件と34%も減少した。そのうち地裁民事第一審通常訴訟事件(ワ号)は2009年の23万5508件から2011年に19万6380件に減少し、過払金事件を除くと約10万件で、弁護士1万人の昭和50年代に戻る件数である。
官僚制司法の下で裁判官が少なく(外国と比較するならば、弁護士より裁判官の数の方が、より少ない)、裁判が権利救済に消極的であることのほか、幾つかの理由により、国民の裁判利用が減少している。弁護士会の有料法律相談は2003年の40%に激減し、渉外・企業法務系の事務所の採用数も半減し、企業内や国と地方自治体内の弁護士採用数は弁護士の供給量に全く追いつかず、大幅な供給過剰である。もともと、「二割司法」と称して膨大な潜在的需要があるとした根拠は全く存在しなかった。
司法試験合格者数は、充実した司法修習とオン・ザ・ジョブトレーニングが可能で、弁護士過剰による社会的な弊害が生じない適正規模に抑える必要がある。弁護士人口は、現在3万2000人で既に大幅に過剰である。1964年から1990年までの司法試験合格者数は500人であったことから、1000人に減少させても毎年500人ずつ増加し、弁護士は将来約4万6000人になる。年間1500人であれば約6万3000人、年間2000人であれば約8万人に達するが、5万人以上となれば影響は五十歩百歩であろう。
将来の人口減少や少子高齢化に伴う経済活動の縮小を考慮すれば、可及的速やかに司法試験合格者を年間1000人以下にする必要がある(昨年の全弁護士対象のアンケートで、1000人以下の回答が77.6%)。
我が国には、総計百数十万人に達する法学部終了者が世の中にあふれ、また、弁護士の隣接業種の人口は二十数万人存在する。それらを無視して、弁護士人口のみ外国と比較することは間違いである。

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