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日弁連会長選挙規定共同アピール文

2013.01.14

 

 私ども有志で、日弁連全会員に対し、日弁連会長選挙制度について下記の意見を表明することにしました。
 
 日弁連会長選挙制度の変更に反対する共同アピール

第1 趣旨
   日本弁護士連合会の会長選挙においては、全国で最多票を獲得することのほか、3分の1を越える単位会において最多票を得なければ当選者になれない(会則61条2項、「3分の1要件」)。この「3分の1要件」を充足しない者を日弁連会長の当選者とする選挙制度に改変することには、絶対に反対である。

第2 理由
 1 一般会員の軽視、崩された司法の土台
   日弁連は、1990年代の「司法改革」以後、多くの諮問委員会的組織を作り、執行部が人事権を掌握する等により中央集権的な体制を強め、中小規模の弁護士会及び一般会員の意見を尊重してこなかった。今回の会長選挙規定の改定は、ますます大単位会の支配勢力が日弁連を牛耳ることを容易にする。
「司法改革」以後、大単位会の派閥の支配層の考え方とそれ以外の会員との間には大きな意見の相違が生じてきた。多くの会員が日弁連や弁護士会から離れ、現在、自治の担い手であるという実感さえ持ち得ない状況に陥っている。
これまで、日弁連の委員会や会員から、重大なテーマについて会員アンケートの実施が過去何度も要求されてきた。しかし、執行部はこれらを拒否してきた。1994年から2000年の司法試験合格者数などをめぐる4回の日弁連臨時総会においても、地方単位会では執行部案に反対する票の方が多かったが、東京及び大阪の派閥が執行部支持の委任状を集めて押し切ってきた。会長選挙においても(2010年2月の選挙を除き)派閥が推し進める多数派工作が功を奏して勝利を収めてきた。
  「司法改革」以後、日弁連の執行部は、会員の意見を尊重するという姿勢を失い、「自己改革」と称した弁護士の大量増員政策を唱え、弁護士制度の破壊及び法曹養成制度の破綻を招来させた結果、今後ますます多くの者が苦境に立たされて行く。
  選挙での激しい対立は、基本的政策に対する意見の違いの表面化である。今必要なことは、司法改革と会内合意形成のあり方を総括し、崩された司法の土台の修復に努めることである。ところが、司法改革を推進した人々は、未だ司法改革の失敗を認めず、更には会長選挙制度までをも改変しようとしている。
 2 日弁連会長選挙の「3分の1要件」の立法趣旨、要件撤廃の不当性
  日弁連会長の直接選挙は、昭和40年に日弁連機構改革委員会が設置されて以後約10年間の激しい議論の末に、再投票も再選挙をも前提とした「3分の1要件」を当選要件として、やっと昭和49年に成立した。成立するまでの経緯からすると、この要件は、新しい選挙制度の核心部分である。「3分の1要件」の立法趣旨は、日弁連が会員と単位会とで構成されていることを根拠とし、大単位会の横暴と過度の中央集権化を抑止し、日弁連をして地方単位会の実情を反映した政策を選択せしめることにある。各単位会の連合体という性格を重視すれば、むしろ「2分の1要件」にすることもあり得ることであった。
  数的に言えば、最多得票者は、全体の約6割を占め派閥の力が強い東京・大阪の会員だけで満たすことが可能であり、その意味で巨大都市の観点や利害を代表する会長が選出されることになる。「3分の1要件」は、構成員である単位会における投票結果及び個々の会員による最多得票者という直接投票の結果に、絶妙な調整機能を果たさせようとする先人の知恵であり、会内民主制に積極的な意義を有する制度である。
  「3分の1要件」を充足しない候補者は、全国の会長として相応しくなく、当選者となし得ないとするのは、極めて妥当な制度である。
1回目の投票で「3分の1要件」が課されていても、決選投票(再投票)以後、「3分の1要件」を撤廃すれば、「3分の1要件」が会長選挙制度に課された意味がなくなることは明らかである。第1回投票で必要であるが、決選投票に必要でないとする理由は全くなく、それを正当化する理論的根拠は全くない。
 (続く)

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