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2013.03.26
法曹養成検討会議の鎌田委員は、現在、法科大学院協会理事長をされており、法科大学院協会のホームページ(http://www.lawschool-jp.info/about.html)で「理事長からのメッセージ」を公表されています。
そこには、「これまでの大学における法学教育は、基礎的教養教育の面でも法学専門教育の面でも必ずしも十分なものとは言えず、プロフェッッションとしての法曹を養成するという役割を適切に果たしてきたとは言い難いと指摘されていました。こうした旧制度の問題点を克服し、司法が21世紀の我が国社会において期待される役割を十全に果たすための人的基盤を確立するためには、法曹人口の拡大や弁護士制度の改革など、法曹の在り方に関する基本的な問題との関連に十分に留意しつつ、法学教育、司法試験、司法修習を有機的に連携させた「プロセス」としての法曹養成制度を新たに整備することが不可欠であり、その中核を成すものとして、法曹養成に特化した教育を行うプロフェッショナル・スクールである法科大学院を設けることが必要かつ有効であると考えられたのです。」(引用終わり)
この部分は、鎌田委員が以前に公表されていた「ロースクールを考える」の鎌田委員執筆部分と整合性があまりにも取れていないと思います。
「君子豹変す」「過ちを正すに憚ることなかれ。」と言います。一旦公表した意見を変えるべきではないとは言いません。間違っていたことがわかった場合には、直ちに変節させることが尊敬に価する場合もあります。
しかし、これほどまでに意見を変える場合は「以前の意見は間違っていた。」と言うのが誠実な教育者としてのあるべき態度であると思います。
そうでなければ、変節後の発言の説得力もないのではないでしょうか。
鎌田委員は、法科大学院協会のホームページ「理事長からのメッセージ」に続けて「司法制度改革の理念を実現するためには、司法試験合格者数について、司法制度改革審議会意見書や閣議決定(2002年)のとおり、将来的に毎年司法試験合格者数3000人程度とするという目標を堅持することが必要であると考えます。」と書かれてあります。
司法制度改革に「理念」なるものがあったかどうかは別として、既にここまで歪みが生じ、法科大学院どころか法学部志願者数が激減している現状において、未だ3000人を維持する目的が法科大学院の存続以外にあるとは思えません。
弁護士のため息「http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-840b.html」)のブログでも指摘されているとおり、鎌田委員ご自身が法曹養成検討会議で「今度の4月に入学してくる人は多分2,800人ぐらいになります」と発言しておられます。平成16年の法科大学院入学者数は、5,767人ですから,10年と経たないうちに半減しているのです。
鎌田委員は、理事長からのメッセージで「法科大学院は、その創設からまだ10年も経っていません」とありますが、創設から10年も経たないうちに入学者数が半減する法科大学院制度は完全に破綻しているといっても過言ではないと思います。
また、2800人の法科大学院入学者数で年間司法試験合格者数3000人を堅持すれば、それまでの滞留者を入れたとしても資格試験としての体をなさないのではないでしょうか。
この調子で法科大学院入学者数が激減していけば、入学者数が2000人を割るのもそう遠くないことは明らかなのですから。
私には、現状の認識下で年間司法試験合格者数3000人堅持との意味がわかりません。