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2014.04.07
現在、予備試験の受験制限と予備試験合格者数の制限に対する動きが風雲急を告げようとしています。
cf.元「法律新聞」編集長の弁護士観察日記
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-793.html
http://kounomaki.blog84.fc2.com/blog-entry-794.html
予備試験の受験制限とは、たとえば、「25歳以下の人及び法科大学院生は予備試験を受けてはいけない」(予備試験の受験制限)とか、「予備試験の合格者数を減らすべき。」(予備試験合格者数の制限)と言った議論です。
予備試験の受験制限を設ける理由として
①予備試験は、本来、経済的問題で法科大学院に行くことのできない学生が法曹になるためのあくまでも例外的措置なのに、実際には、予備試験受験生にはお金持ちが多い。
②法科大学院生や法学部生がかなりの割合を占めており、法学部生や法科大学院生は、経済的余裕のある人たちなので、予備試験制度の当初の目的から逸脱した現状になっている。
との内容があげられることがあります。
また、予備試験の合格者数を減らすべきとの意見の理由として
③ 司法試験合格者数を削減するべきと言っても、予備試験ルートの合格者数が年々増えており、このまま予備試験の合格者数が増えていけば、司法試験合格者数は増えてしまう。
といった内容があげられることもあります。
一体全体どこから手を付けたらよいかわかりませんが、とりあえず、予備試験の制度趣旨の是々非々は置くとして、試に反論の一部を挙げさせていただきます。
例えば、予備試験受験制限の上記理由①に対して、予備試験受験生はお金持ちとのことですが、普通に考えて受験生はお金持ちであるはずがありません。予備試験受験生の多くが学生で占められるとのことですが、多くの学生には収入や貯蓄がないのですから、「お金持ち」とは言えません。法科大学院では出席を取っているため、アルバイトや仕事を持ったまま通学することはできないので、親族から経済的援助を受けるか、自らの貯蓄を消費するか、はたまた奨学金を借りて通学や生活をする以外に方法がないからです。
また、親族の経済的援助を受けている学生の中には、親、祖父母、あるいは、叔母叔父の経済的援助を受けておられる方もいらっしゃるでしょう。一体全体親族の誰についての経済的基盤を基にお金持ちか否かを判断したらよいのでしょうか。「お金持ち」か否かを判断する際、どこの親族まで広げて考慮すべきか否かの基準が不明瞭です。
仮に、受験生で裕福な人は司法試験を受けられないとの制限を設けるべきであるとすると、通常、年齢的に上の人の方が貯蓄のある場合が多いでしょうから、若い学生の受験を制限する理由はなくなるはずです。
予備試験受験制限の上記理由②について、学部や法科大学院に通っておられるからといって、その学生に経済的余裕があるとは限りません。私の知る限り、1500万円の「奨学金」という名の借金を抱えて学生生活を送っている人もおられました。700万円から1000万円の奨学金を抱えている人は山ほど存在します。
法科大学院生だからといって、必ずしも裕福とは言えないのです。
いかなる根拠をもって、「学生はお金持ち」と結論づけられるというか、その根拠が全くわかりません。「学生がお金持ち」との統計結果もありません。
また、予備試験合格者数を減らすとの上記理由③については、呆れて、開いた口がふさがりません。
予備試験を合格して司法試験を受験する者(その中には、もちろん学部生や法科大学院の現役学生等も含まれる。)と法科大学院を修了して司法試験を受験している者とで別々に司法試験合格者数を出しているわけではありません。予備試験を合格し、司法試験を受験している者と法科大学院を修了して司法試験を受験している者とが同じ司法試験を受験し、純粋に成績の上の順から司法試験合格者数を決めています。
予備試験合格者数を青天井にしても、司法試験合格者数を司法試験の成績の上から順に、例えば、500人で絞ることもできます。
予備試験合格者数を何名にするかという問題と司法試験合格者数を削減すべきとの議論は、全く別問題であり、関連性はありません。
にもかかわらず、あたかも、予備試験組から司法試験合格者数を何名、法科大学院組から何名と決めているかのごとき印象を与える上記理由③は明らかに間違っているのです。
いずれの議論もきわめて不誠実な議論であると断ぜざるを得ません。