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2014.08.01
現在、法曹養成制度改革顧問会議等では、予備試験の受験制限が論じられています。
たとえば、予備試験を受験する要件として(経済的に恵まれない等)資力要件や社会人経験を必要とする(A案)、一定の年齢以上であることを予備試験受験要件とする(B案)、法科大学院在学生は予備試験を受けられない(排除する)(C案)、予備試験科目を追加・変更する(D案)といった議論があるそうです。
どの案も様々な賛成論があります。
これに対し、札幌弁護士会(http://www.satsuben.or.jp/info/statement/2014/06.html)、埼玉弁護士会(http://www.saiben.or.jp/chairman/2014/0140502_01.html)、大分県弁護士会(http://cgi37.plala.or.jp/~oitakenb/data/statement/140374820928000.pdf)などが予備試験制限反対の会長声明等を挙げています。
なお、山口県弁護士会は、法曹養成制度改革顧問会議で議論される以前から総会決議で予備試験の合格者数を増やすよう意見表明をしていました(http://www.yamaguchikenben.or.jp/about/statement_report/report_2013-7-19.html)。当会でも法科大学院制度のルートによる司法試験合格者数と予備試験ルートによる合格者数の割合を均衡させるよう、すなわち、予備試験合格者数を増やすように求めるパブコメを出していました(http://www.hyogoben.or.jp/topics/iken/pdf/130509housou.pdf)。
予備試験制度は、法曹を目指そうとする人たちが広く司法試験を受けることのできる公平・公明な制度です。この予備試験の受験制限や合格者数の削減を求める理由には合理性がありません。
予備試験の受験制限等を求める人たちの一番の理由は、「本来の制度目的とかけ離れている。」というものです。そして、予備試験制度というのは経済的に法科大学院ルートを通ることができない人たちのための制度なのだそうです。
しかしながら、「本来の制度目的とかけ離れている」からといって予備試験の受験制限をする理由にはならないと思います。上記予備試験制度の「本来の(?)」制度趣旨自体が間違っているからです。
まず、予備試験の本来の制度目的は、法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう法曹の給源の多様性を図るためにあるものであり、経済的問題により受けられない人を救うものに限定する必要はありません。
しかし、法科大学院制度を死守したい人たちは、予備試験はあくまでも「経済的根拠により」法曹を目指せない人を救う制度に限定して理解されます。
このように予備試験制度の趣旨自体には認識の違いがあります。
ただ、仮に、百歩譲って、予備試験制度が「経済的根拠により」法曹を目指せない人たちのための制度であったとしても予備試験の受験資格制限をするのは、不合理です。
司法改革の目的は、より良い司法制度を構築するためです。
法科大学院制度を護るためのものではありません。
経済的問題に限らず、時間的問題から法科大学院ルートを通りたくない人、家庭の事情等から法科大学院を通りたくない人、ある程度経済的には恵まれているものの健康不安等から早く法曹になりたい人等々世の中には、様々な思想があり、人それぞれの事情があります。
それを他人が「あなたは経済的に恵まれているから、法科大学院に行くべき」と強制するのでは、様々な事情から、あるいは、様々な思想や良心に従い、法曹を目指すことができなくなります。そうすると、法曹を目指す人はますます先細りする以外にありません。
法科大学院制度のために司法制度を瓦解させるのはいい加減止めるべきでしょう。