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2014.10.08
法科大学院の入学者が激減し、他方で予備試験志願者が増加していることから、法科大学院への入学を促すために浮上している案として、①予備試験の受験制限や②予備試験合格者の人数制限以外にも③大学の飛び級の活用と法科大学院の期間短縮と言った案が浮上しているようです。
例えば、法学部の飛び級を利用して3年間で学部を卒業し、法科大学院の期間を1年で修了できるようにするといったような案です。
事務総長の回答書面にあった「法曹養成課程の時間的・経済的負担が減少すれば予備試験は本来の制度趣旨にそった運用ができる」というのもおそらくこのような案を念頭に置いておられるのだと予測されます。
しかし、これは、法科大学院制度の存在価値を否定するに等しいと思います。結局、4・5年程度間で法科大学院修了過程程度の法的素養や知識は習得できることを自ら自白しているようなものですから。
「プロセスとしての法曹養成」に時間は必要でないというのであれば、もともと2年或いは3年の法科大学院を受験資格要件にして法科大学院を経由させる必要はなかったはずです。
大学施設内における4・5年間の学習で足りるなら、法学部教育を充実させて、大学修了までに十分な学力や法的素養を身につけさせれば、わざわざ学部から法科大学院過程へ編入させるまでもないでしょう。教授陣も学部と法科大学院とでさほど変わりませんし、カリキュラムや教授陣等の工夫で「プロセスとしての法曹養成」は何とかなるということですから。
突き詰めれば、③法学部の飛び級+法科大学院の期間短縮という案は、法科大学院制度を骨抜きにするに等しく、「プロセスとしての法曹養成」といったスローガンの欺瞞性を自ら実証しているに等しいと思います。
この③案を法科大学院制度に否定的な方が主張されるのであれば理解しますが、法科大学院擁護派の方が主張されるのは理解できません。
法科大学院制度とは、法科大学院の教授等の既得権益を生み出す以外に一体全体どのような意味があったというのでしょうか。
制度に翻弄された学生や若手法曹は本当に気の毒だと思います。