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新人弁護士の就職難

2014.10.12

 

 先日、兵庫県の実務修習終了の懇親会に参加してきました。
 司法修習生の就職難は、今年特に酷いようです。そして、司法修習生の就職難は、今後、急速に悪化の一途を辿ると思います。
 さらに言えば、女性修習生の就職難はきわめて深刻で、目も当てられません。

 
 他方、経営者側弁護士の話を伺うと、どの弁護士も「新人弁護士を雇う余裕はない。」「むしろ経費削減に苦労しており、人を減らしたいくらいである。」との声を頻繁に聞きます。
 私たちの目から見て顧問先をたくさん抱え新人弁護士を雇う余裕があると思われる法律事務所でさえ新人弁護士を雇おうとはしません。
 日弁連執行部は、理事会で「新人弁護士を雇って下さい。」と言われますが、弁護士1人当たりの事件数が激減し、経営者弁護士が経費捻出に苦労している現状において、一体全体誰が新人弁護士を雇えるというのでしょうか。
 

 このような状態であるにもかかわらず、未だに「法曹需要はある。」「法の支配が社会の隅々に行き渡っていない。」「国際社会にも企業にも法曹有資格者の活動領域の拡大はいくらでもある。」等々、資格さえ取れば、バラ色の未来が広がっているように世間、特に司法試験受験生を騙すのは止めて戴きたいです。

 司法改革推進論者が言うように需要があるのであれば、何故これほどまでに就職できない人が出てくるのでしょうか。

 このような誤導は不誠実以外の何物でもありません。
 人の人生をどこまで弄べば気が済むのでしょうか。

 
 法科大学院関係者の中には、「弁護士の中に司法試験に合格しても就職先がない等ネガティブキャンペーンをする者がいるがために法曹を目指す人が少なくなり、法科大学院志願者が激減している。」といったお門違いの批判をされる方がいます。
 しかしながら、それは全くの濡れ衣です。
 なぜなら、予備試験受験者数は右肩上がりで増えているからです。
 予備試験合格者数を不当に抑制しているのにもかかわらず、予備試験受験者数は増えているのです。
 法科大学院は、司法試験受験要件にされ、莫大な予算を使って「法科大学院には魅力がある。」とのキャンペーンをする等予備試験と比較にならないほど優遇されているのに、法科大学院生の数は激減しているのが現実です。

 法科大学院の不人気の責任を他者になすりつけて言論封殺をしようとするのは、教育関係者として恥ずべきことだと思います。
  

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