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2014.10.18
2014年10月14日午後6時から行われた司法修習生給費制復活の院内集会に参加してきました。
国会議員も20人近く来られており、皆さんが給費制復活の重要性を訴えかける力強いご発言をしておられました。
その中でも一番胸を打ったご発言は、司法試験に合格しながらもご家庭の事情で弁護士になる道をあきらめ、公務員として就職することを決められた方のご発言でした。
その方は、法科大学院を卒業するまでに奨学金として600万円の借金を抱えており、司法試験に受かったものの、お父様が急に大病で働けなくなったそうです。そこで、今は、お母様が働いて生活を支えておられるそうですが、下の2名のご兄弟がこれから大学進学する費用等を考えると、司法修習生の間に貸与を受けて借金を増やすことはできないと考え、「公務員としての仕事にも興味があったことから」と言うことで弁護士になることをあきらめ、公務員になる道を自ら選択されたとのことです。
その方は、何度も「公務員としての仕事に興味があった。」と言われ、自ら選択した道を積極的に評価しようと努力していました。
その方が「自分の選択した道は間違っていない。」「公務員は素晴らしいから自分は選んだのだ。」と何度も言われる度に私は、その方が自らに言い聞かせ、自らを無理やり納得させているように見えました。
これから法曹となる人たちのために、顔を出して司法修習生の給費制の必要性を訴えているその姿に涙を禁じ得ませんでした。同時に、その方の勇気と志の高さに感動しました。
一体何故このような若者を生み出さなければならなかったのでしょうか。
公務員としての仕事が素晴らしく、興味深いことは事実でしょう。
しかし、それを何度も自らに言い聞かせ、自分の進路を肯定しようと努力しているその若者の姿は、司法改革が間違っていたことを明らかにしていると思います。
何故なら、司法改革以前の制度であれば、司法試験に受かるまでに600万円もの多額の奨学金を抱える必要はなかったですし、司法修習期間は、給費制により安心して法曹の研修に打ち込めたはずで,弁護士への道をあきらめる必要はありませんでした。また、司法修習を出た後は、就職先もあったと思います。
しかし、司法改革でこれらすべてが失われ、この青年には多額の借金だけが残りました。
一刻も早く、法曹養成の在り方、司法の将来について抜本的に見直さなければならない時に来ていると思います。