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兵庫県議会の法曹人口政策と法曹養成制度の見直しを求める決議

2014.11.01

 

 平成26年10月24日、兵庫県議会で「鳳珠雄人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書」が全会一致で可決されました(http://www.hyogokengikai.jp/regular/05-332.html)。
 念のため、下記に全文を掲載させていただきます。


 この意見書は、2010年に兵庫県弁護士会の年間司法試験合格者数「1000人」決議が可決された直後から、私が法曹人口問題(現法曹養成制度検討)PTの座長として、あるるいは、担当副会長として4年近くに亘り、議会に求め続けてきた意見書です。
 

 今年は、私は全くタッチしておりませんので、この意見書の可決は、ひとえに担当副会長・委員長並びに委員の皆様のご尽力のおかげです。
 本意見書を可決に持ち込んだ議員の皆様、当会の会員の皆様には、心より感謝申し上げます。本当に有り難うございます。
 当会では、本意見書を受けて、同日、会長談話を出させていただきました(http://www.hyogoben.or.jp/topics/iken/pdf/141024danwa.pdf)。
 

 私がこれまで苦労して持ち込んでも全く相手にされなかったのとは裏腹に、今回は、非常にスムーズに可決まで持ち込むことができました。
 このことは、今年の担当副会長を始めとする委員の努力があったのはもちろんのことですが、それだけでなく、いかに法曹人口、特に弁護士人口の急増及び法曹養成制度のひずみが社会的に認知されてしまっているかということの証左ではないかと思います。

 
 また、国民の代表である議会で、このような意見書が出たことは、「司法試験合格者数を削減するというのは国民の理解を得られない。」とのマスコミや一部弁護士等の主張がもはや意味をなさなくなっていることの証左でもあります。
  
 都合の良い「国民」を語って、自らの主張を正当化することはもう止めていただきたいと思います。

                      記
 意見書 第79号

               法曹人口政策の早期見直し及び法曹養成制度の抜本的見直しを求める意見書

 国は、平成14年3月、今後法的需要が増加し続けるとの予想に基づき、年間500人程度であった司法試験合格者数が、当時既に年間1,000人程度に増員されていたにもかかわらず、平成22年頃には年間3,000人程度とすること、及び法曹養成に特化した教育を行うために法科大学院制度を新設し、原則として法科大学院の修了を司法試験の受験資格者とすることなどを内容とする「司法制度改革推進計画」を閣議決定した。
 その後、司法試験合格者数は増え続け、平成19年以降は2,000人超で推移してきたが、この間、裁判官及び検察官は、ほとんど増員されなかった結果、弁護士のみが急増するという事態に至った。
 一方で裁判所の全新受事件数は、ピークであった平成15年の6割程度に減少するなど、急増する弁護士数に見合うほどには法的需要は増加しなかったため、需給バランスが大きく崩れ、弁護士を志望する司法修習生が法律事務所に就職できないという就職難が発生し、オン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)の欠如が急激に深刻化するようになった。
 また、法科大学院から司法試験合格までの学費、生活費の負担に加え、司法修習生の給費制が廃止されて「貸与制」が導入されたことにより、法曹となった時点で多額の負債を抱える者が発生するようになった。
 このような構造的な問題に起因する法曹の質の低下が懸念され、司法を取り巻く危機的な状況の中、国の法曹養成制度検討会議は平成25年6月に検討結果を取りまとめ、司法試験合格者数を3,000人程度とする目標は非現実的として撤回したものの、今後のあるべき法曹人口については、2年以内の結果公表に向け、新たな検討体制のもとで必要な調査を行うとしたところである。
 このままでは法曹志願者数の激減や法曹の質の低下等、現在の危機的状況が深刻化することは避けられず、最終的にはエンドユーザーである国民が不利益を被ることになる。
 よって国におかれては、国民の利益を適正に確保するため、適正な法曹人口となるよう年間司法試験合格者数を大幅に減少させるなど、一刻も早く法曹の供給過多を解消するとともに、法曹養成制度全体を抜本的に見直すよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成26年10月24日

 衆議院議長
 参議院議長
 内閣総理大臣
 内閣官房長官           様
 総務大臣
 財務大臣
 法務大臣


兵庫県議会議長  梶 谷 忠 修 

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