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2015.02.09
国会議員や法曹養成制度顧問会議の委員に対して、司法試験合格者数3000人にすべきと主張される弁護士等が熱心な要請活動をしておられるようです。
彼らに言わせれば、「弁護士を募集しても応募がない」と嘆く弁護士もいるのだそうで、弁護士の就職難は「都市伝説」、就職難の根拠とされる数字には「マジック」があり、「登録抹消」の実態には裏があるとのことのようです。「そもそも、弁護士は就職する必要があるのかという疑問もあ」るのだそうで、「司法研修所を出ているのですから、「就職しないと仕事ができないというのもおかしなお話」なのだそうです。
「弁護士を募集しても応募がない」と言う弁護士が存在したとして、だからと言って弁護士の就職難が存在しないとの結論を導けるわけではありません。
大半の弁護士が「経費削減のため弁護士を辞めさせることはあっても新人弁護士を募集する余裕はない。」「弁護士を1名募集すると、100名以上集まってくるので困る。」「修習生があまりにも気の毒で、就職の話題はタブーである。」等々と言っていますが、中には、「弁護士を募集しても応募がない。」との稀有な弁護士がいることもあり得るからです。
ただ、もし、「弁護士を募集しても応募がない」と嘆く弁護士を見つけたら、即刻、弁護士会に情報提供して戴きたいと思います。どこの単位会も就職先のない修習生で溢れかえっているからです。
御多分に漏れず、先に行われた当会の就職説明会では、100名近い修習生が全国から集まりましたが、募集事務所は6つ、企業内弁護士を募集する企業が2社という大変お寒い状況でした。他の単位会では、「募集事務所が5つ程度しかないなのに、100名以上の修習生が毎年全国から交通費や宿泊費を捻出して来られるのはあまりにも気の毒過ぎる」ということで、何年も前に弁護士会による就職説明会を廃止した単位会もあります。
確かに、昨年12月の弁護士一括登録日に弁護士登録しなかった修習生は550名に上りますが、一昨年の570名と比較すると若干減っていますし、数か月するとほとんどの方が登録されています。
そのため、「12月分の高い弁護士会費を節約するために翌月の1月以降に登録する人が多い。」などと言われることがあります。
しかし、司法改革以前には、「弁護士会費を節約するために弁護士登録を遅らせる」と言ったこと自体が存在しませんでした。当時は、弁護士会費の節約と言った発想自体がなく、一日も早く登録してたいとの弁護士乃至事務所が圧倒的だったからです。
すなわち、経費節減のために登録を遅らせる人が存在すること自体、弁護士の需要のなさを物語っているのです。
また、弁護士登録者の中には、就職先がなく、ノキ弁、即独で登録している方も多く含まれますし、一旦事務所に入ってもすぐに登録換えをしたり、独立する等々ミスマッチな就職も多いです。更には、弁護士にとって一人前の弁護士になるのに必要不可欠なOJT(オン・ザ・ジョブトレーニング)を期待できない事務所への登録等も非常に多いのが現状です。具体的な話は言えませんが、本当に悲惨な実態は枚挙に暇がありません。
弁護士として登録してもすぐに自ら請求して登録を抹消する弁護士も非常に多いです。
最近は、大学の中に法律事務所を作り、雇用促進を図るところのあるのですが、それは、大学・法科大学院自身が弁護士の就職難を誰よりもよくわかっているからであると思います。
「司法試験合格者数を増やすべき」「弁護士の就職難はまやかし」と言われる方がまずもって弁護士を雇用して戴きたいものです。それが責任ある態度と言うものではないでしょうか。