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2015.04.07
少し前の記事になりますが、産経ニュース(3/19付け)が弁護士の不祥事防止のために日弁連がハッピーリタイアを勧めている等とのニュースが流れています。http://www.sankei.com/affairs/news/150319/afr1503190001-n4.html
(引用はじめ)
高中副会長は不祥事根絶対策として「仕事が来なくなったら競争社会に負けたということ。その場合は潔く事務所を閉めて引退するなど、エリート意識を捨てることが必要だ。ハッピーリタイアできるよう、若いうちから老後資金をためておくよう意識改革を促すこともひいては不祥事対策につながるだろう」との考えを示した。
(引用終わり)
この新聞記事は、様々なブログで取り上げられています。
(Schulze BLOG)
http://blog.livedoor.jp/schulze/archives/52113001.html
(弁護士のため息)
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-9df6.html
(黒猫のつぶやき)
http://kuronekonotsubuyaki.blog.fc2.com/blog-entry-1098.html
数ヶ月前に、日弁連理事会でこの説明を受けた時、私は「開いた口がふさがらない」と言った茫然自失状態で、いつもは強く抗議するところですが、あまりにもあきれて意見する気力さえ起こらなかったことを思い出します。
端から見たら、さぞかし間抜けな顔をしていたと思います。
司法改革で法科大学院修了を関所にして多額の学費や生活費の借金を抱えさせ、これほどまでに弁護士の数を激増させ過当競争にして、就職先はない、経営者弁護士が経費を捻出するほどの事件数もないといった状態で一体全体どうやって誰が「老後資金」を貯めることなどできるでしょうか。
思わず「パンがなければケーキを食べればいいじゃない。」といったマリー・アントワネットの言葉を思い出してしまいました。
司法改革前にはこれほど弁護士の不祥事案件は存在しませんでした。
弁護士だって馬鹿ではありません。
不祥事を起こせば、いつかは発覚して、資格剥奪になる等といったことがわからないはずはないのです。
不祥事を根絶するためには、まず、相互監視機能が働く程度の適正規模に弁護士人数を減らして弁護士の経済的基盤を確立させると同時に、法科大学院修了要件を司法試験受験要件から外して、或いは、予備試験の枠を撤廃して多額の借金を抱えなくても法曹になれる道を拡大することが先決でしょう。
また、エリート意識を持つか否かと横領等不祥事を起こすか否かとは関係がありません。エリート意識を持っていれば、プライドを高く持ち、逆に、不祥事を起こしにくいとも言えます。
弁護士資格の価値が紙くず同然にされ、弁護士が自らのプライドもエリート意識も持てなくなったこと、売上げが減少するばかりで将来が見えず、自暴自棄に陥らざるを得なくなったことこそが問題なのです。
「司法改革自体は正しかった、ただ、そのスピードが早すぎて歪みがでてしまっただけだ。」といった反省のなさでは、司法制度の立て直しは到底難しいでしょう。