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法律新聞「日弁連会務執行方針に物申す」その1

2015.05.25

 

 日弁連の2015年度会務執行方針に対する私の意見を平成27年5月22日付法律新聞(第2094号)に掲載して戴きました。
 
 愛知県弁護士会の岩月浩二弁護士のブログ(http://moriyama-law.cocolog-nifty.com/machiben/2015/05/post-2f8c.html)にも掲載して戴いておりますが、法律新聞のご承諾を得て、ここに改めて全文を本ブログに数回に分けて掲載させて戴きます。

「週刊 法律新聞平成27(2015)年5月23日 第2094号
寄 稿 「日弁連の2015年会務執行方針に物申す」
武本 夕香子 弁護士(兵庫県弁護士会)

2015年の日弁連会務執行方針が日弁連のホームページで公表されています
   (http://www.nichibenren.or.jp/activity/policies/policy_2015.html

 多くの人があまりの内容に驚いたことでしょう。
心ある人は、言わずとも分かっておられるでしょうが、私は、批判すべきは正面から批判することが会員の務めであり、3万6000名余りの日本弁護士会会員に対する理事としての誠意ある処し方であると考え、筆を執ることにしました。

 述べたいことは、たくさんありますが、「基本姿勢」の分に重点を置いて検討したいと思います。

第1 基本姿勢について

 まず、「基本姿勢」の導入部分は、「分け入っても分け入っても青い山(山頭火)」という、よく引用される名句で始まります。謙虚な姿勢を示していると取れなくもありません。 

 ところが、次の段落「基本姿勢」の冒頭で「1万1676名もの会員の皆さんが投票用紙に「村越進」と記載してくださり、51弁護士会において最多得票を獲得させていただいたことの重みを、あらためてしっかりと受け止め」「山積する諸課題に全力で取り組む所存です。」と記載されています。 

 これは、村越会長の自慢と取られたり、「自分は最多得票数を取り、ほとんどの単位会で多くの票を獲得したのだから、自分のいうことに逆らうべからず」と取られたりしかねませんから、適切な表現ではなかったと思います。 

 この後者の解釈を、勘ぐり過ぎと言うことはできないでしょう。
 その後の「基本姿勢」も、「独りよがりや原理主義と批判されるような言動は排さなければなりません。」「日弁連として、ぶれない一貫性、ころころと変わらない継続性、そして責任感が必要です。」「会員と弁護士会の心と力を一つに合わせる必要があります。」「誰かのせいにして嘆いたり批判ばかりするのではなく、力を合わせて」などという、「執行部に反対するな」とも取れる文言に終始しているからです。
 山頭火の句を冒頭に掲げ、謙虚な姿勢を打ち出されるおつもりであれば、前回の会長選挙の時点では、現在の全会員3万6000人余りから2000人会員が少なかったとしても3万4000人強の会員がおられましたから、村越会長の名を投票用紙に書いたのが会員の三分の一に過ぎないこと、投票率が最も低かったこと(46・62%)を強調すべきだったでしょう。

1「1 幅広い市民の理解と信頼を得ることを基本とする」について 

 「基本姿勢」第1項において
「日弁連は、井戸やコップの中のような議論に基づく自分たちだけの「正義」を、声高に主張すればそれでよいというものではありません。すべての判断基準は、市民の利益にかないその理解と信頼を得ることができるか否かにあります。」と記載されています。

 この部分の問題点は、意味が不明確で、全体として誹謗中傷と変わらないものになっている点です。

 何が「井戸やコップの中のような議論」で、何が正しい議論でしょうか。
何が、『自分たちだけの「正義」』で何が真正の正義でしょうか。
議論や正義に、正邪を区別しようというのは、それほど簡単なことではありません。
その判断基準として「市民の利益にかないその理解と信頼を得ることができるか否か」が挙げられていますが、あまりよく考えられた基準とは言えないと思います。
「利益」の意味によっては「市民の利益」にかなわない正義もありそうですし、市民の「理解と信頼を得る」ことができない正義など、たくさんあるからです。」(つづく)
 

添付資料添付資料を見る(PDF: 2100 Kbyte)

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