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2015.09.14
司法試験の漏洩問題の最大の防止策としては、まずは、法科大学院の教授を司法試験考査委員から排除することが早道だと思います。
その他の防止策としては、補助金の差異を検討する際、法科大学院の合格率を最も重要な判断要素とすることを止め、或いは、法科大学院修了要件を司法試験受験要件としないことにして法科大学院の存在意義を司法試験とリンクしないようにするのが良いと思います。
司法改革以後、司法試験を受験するには、4年大学のみならず、原則法科大学院を修了しなければなりません。
法学部を持つ大学は、法科大学院のない学部には学生が集まらないため、こぞって無理をして法科大学院を創設しました。
そのため、平成15年には74校もの法科大学院ができてしまいました。
74校もの法科大学院を安易に認定した文部科学省の責任は重いと思います。
法科大学院の入学金・授業料は高く、年間国公立の法科大学院でも授業料だけで年間80万円が必要でした。その上、法科大学院に通えるところへ住む必要があり、法科大学院の通学圏内に家を借り、生活費も借金をするか、よほどの経済的余裕のある人しか法科大学院に通えなくなりました。なぜなら、法科大学院の授業には出席が採られ、かつ、宿題や予習復習も大変なので、アルバイトをしながら通学することは事実上不可能だったからです。
さらには、法科大学院に通学する学生の多くが夜は予備校に通いました。
法科大学院では司法試験の受験指導が禁止されているからです。
そのため、法科大学院生は、収入がないのに、法科大学院の授業料・生活費・果ては、予備校の授業料まで必要になります。
司法試験合格後の司法修習も給費制がなくなり、貸与制に移行しました。
司法試験合格後も300万円の借金が上乗せされることになったのです。
そのため、法曹になった段階で数百万円から2000万円近くまで奨学金という名の借金を抱える人まで出てくるようになりました。
また、司法試験に合格しても裁判官や検察官にはなかなかなることができず、弁護士になっても就職先がなかなか見つかりません。独立開業しても経費の捻出が重くのしかかります。過剰な弁護士が毎年輩出されますので、若手のみならず、多くの弁護士の仕事は激減しています。
弁護士にどんなに職業的魅力があっても生活保護レベルの収入もないようであれば、弁護士になろうと思う人が増えないのは当然のことです。
その結果、法科大学院志願者数は激減し、74校のうち29校が既に学生募集停止を表明しています。
学生が集まらないのですから、法科大学院は採算が取れません。
そのような中で法科大学院の生き残りは、各法科大学院の司法試験合格率にかかってきます。
司法改革以前の50年間で一度も報道されなかった、司法試験漏洩問題がこの12年間との短期間で2件も大きく報道されているというのは、司法試験及び司法制度に構造的な問題があると考えるべきなのではないでしょうか。