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国家的資格商法詐欺

2015.09.28

 

 司法改革は、国家的資格商法詐欺であると思います。

 「法科大学院に行きさえすれば、7~8割は司法試験に受かる」
 「法曹需要は、益々増大するばかりで、弁護士になればバラ色の人生が待っている。」
 「世の中は弁護士が社会の隅々に行き渡ることを待ち望んでいる。」
 「非法学部や社会人経験者等の多様な人材に法曹になってもらう。」
等々

 数え上げればキリがありませんが、すべて真っ赤な嘘です。

 実際は、法科大学院が74校もでき、最大定員数は5800人あまりで、5年間のうち3回(今は5回)司法試験を受験することができます。よって、仮に、司法試験合格者を3000人にしたとしても合格率が7~8割に達しないことは、小学生でも計算できます。

 そして、法科大学院を修了するまでに1000万円前後の奨学金等学費や生活費の多額の借金を抱え、司法試験に合格してもまともな就職先はなかなか見つかりません。
 
 やっと就職できたとしても、労働条件や就業環境(人的関係も含め)は劣悪なことも多いようです。
 
 事務員を雇わず、経費を最小限に抑えて独立開業しても経営状況は思わしくありません。何とかその年は経営ができたとしても、顧問先等安定収入があるわけではなく、次年度も経営ができるとの保障がありません。
 実際、既存の中堅弁護士の法律事務所も大手事務所も「売り上げが激減している。」「弁護士や事務員の給与を何回も下げた。」等々といった話ばかりで、景気が良い話は聞いたことがありません。
 実際、国税庁等の調査でも弁護士の収入や所得は年々減少しています。
 
 顧問弁護士を雇うべき企業は既に顧問弁護士を抱えており、新規顧問先など見つかるべくもありません。

 地方に活路を見いだそうとしても地方はもともと需要が少ない上に経営ベースにのらない仕事ばかりが多くあります。
 司法過疎の公設事務所や法テラスの4号事務所は、過払いバブルが終了して以降、軒並み赤字経営に転落しつつあります。
 
 法科大学院の未修コースの3年間で司法試験合格ラインに達するなどとても困難で、法科大学院に入学しても進級乃至修了することができず、3割強の人が法科大学院を退学しています。
 また、未修コースの約9割が法学部出身者で占められ、年々社会人経験者の数も減っており、旧司法試験時代よりも非法学部・社会人経験者の割合は減っています。
 多様な人材を法曹に集めるというスローガンは、すっかり色あせてしまっています。

 法曹を目指した人たちの一体何人もの人が司法改革の犠牲者として消えていったことでしょうか。
 以前であれば、法科大学院の奨学金等多額の借金を抱えることもなく、仕事をしながら司法試験を受験することができていましたので、軌道修正をすることも比較的容易でした。
 今では、法科大学院に行く多額の入学金・授業料のほか法科大学院に通えるところに移り住む必要がでてきましたので、お金持ちか多額の借金を抱えなければ法曹を目指せなくなりました。

 しかも弁護士になってからも収入は生活するので精一杯で、弁護士登録を抹消する人も年々増えています。  

 上記事象はいずれも全て事前に予測できました。

 私たちは、司法改革が始まる当初から警鐘を鳴らしてきました。

 でも、未だに司法改革を進めようとしている人たちがいます。
 弁護士の中にさえもそのような人たちがたくさんいます。
 
 自分が経営ができれば、それで良いのでしょうか。
 
 本当に残念ですし、人権感覚を疑ってしまいます。 
 
 

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