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2016.09.27
先日、依頼者保護給付金制度について兵庫県弁護士会で会員集会が行われ、私も参加しました。日弁連からは説明員が2名来られました。
説明員は、「不祥事の予防策が大事」とのことでしたので、私の方から「弁護士の不祥事が増えた原因について調査検討をしたのでしょうか。」「弁護士激増が背景にあると思うのですが、その点についてはどのように考えておられるのでしょうか。」 旨の質問をしてみました。
すると、驚いたことに説明員は、「横領事案の中には、横領したお金をシャンパンタワーなど飲み会に使っていた例もあった。必ずしも弁護士がお金に困って横領したとは思えないケースも多々ある。よって、弁護士が激増して、経済的に困ったから横領したとの構図は必ずしも当てはまらず、司法改革とは関係ないと思われる。」との回答でした。
そこで、私は、さらに「それでは、何故司法改革の後に弁護士の不祥事が急増したのか。不祥事が増えた原因について、日弁連はどのように分析しているのか。」と更に尋ねたところ、説明員は、「不祥事が増えた原因はわからない。様々な要素が総合的に作用している。」とのことでした。
不祥事が増えた原因が究明されてもいないのであれば、効果的な不祥事の予防策など打てないでしょう。
不祥事急増の原因が分からないのに、依頼者保護給付金制度をどうしても創設すべきということになるのでしょうか。
依頼者保護給付金制度により給付金が支給されるということは、既に横領等被害が発生した場合です。
一旦横領される事態が発生してしまったら、市民や社会の弁護士に対する信頼は地に堕ちてしまいます。地に落ちた信頼は、そう簡単には復旧されるわけではありません。
後でお金をもらったからといって、横領された被害者の弁護士に対する信頼が取り戻せるわけではないのです。
不祥事が減らせなければ、依頼者保護給付金制度を設けたとしても、市民からの信頼も弁護士の社会的信用も地に落ちたままです。
また、依頼者保護給付金制度を創設すれば、日弁連が「弁護士という存在は、依頼者のお金を横領する存在です。」と認めたに等しく、逆に信頼は損なわれかねません。
そもそも司法改悪と無関係などというのはあまりにも無理があります。
残念ながら、会員集会に参加し、日弁連の説明員の説明を聞いても、なお依頼者保護給付金制度に賛成する気にはなりませんでした。